お客様の態度と本心はまったくの別物である!
「今日の商談は出来が良かった!」と満足する。反応も良いし、今すぐにも契約できそうだ。しかし、なぜか結果に結びつかない。そんな経験をしたことがないだろうか。
私もよく経験したし、知人の営業スタッフからもそういった話をよく聞く。なぜ、そうなってしまうのか。原因はズバリ“お客様の社交辞令を鵜呑みにしている”からである。お客様が興味を持って聞いているように見えても、「もしかしたら伝わっていないのでは?」と疑うことも必要なのだ。
ハウスメーカーで営業をしていたときのこと。展示場に来場したお客様に対して説明をしていた。ほとんどのお客様は警戒しているため、真剣に話を聞いてくれない。それでも、ときどき感じの良いお客様とお会いした。ニコニコしてよく話を聞いてくれる。接客時間も長く手ごたえありだ。
しかし、いざ話を進めようとすると「今日はサッと見にきただけなので次回にします」と逃げられてしまった。このときは「あんなに上手く行ったのにどうして……」と頭を悩ませたものだ。
商談時もそうだった。私の提案を笑顔でウンウンとうなずきながら聞いてくれる。話のところどころに「なるほど、うまく考えられましたね」などと嬉しいことを言ってくれる。こう言われればますますテンションも上がる。良い気分で説明していた。
しかし、次回のアポイントを取ろうとすると「提案はよくわかりました。一度持ち帰って相談します」とサラッとかわされる。こうしてアポイントが途切れてしましまう。結果的に他社に契約を奪われることになった。
実際の態度や言動と“お客様の本心”はまったく別である。疑うことも必要だったとつくづく思う。
以前、コンサルの先輩から“講演後にもらう感想の注意点”についてレクチャーいただいたことがある。講演をすると、主催者の方から「たいへん素晴らしい講演でした」と言われたり、聴講者のアンケートを送ってもらえたりする。そこには次のようなお褒めの言葉も多い。
- 今まででいちばん役に立つ話でした
- 感動的な内容でした
- もっと話を聞きたかったです
私自身、講演に自信があるわけではないが、このように褒められると「少しは話す技術が上がったのだな」と思ってしまう。
しかし、その方からは「社交辞令に騙されてはならない。アンケートを鵜呑みにしたら終わりだ」とアドバイスいただいたのだ。こういった意見は社交辞令であり、本当の意見ではない。うわべの言葉に喜び、改善しないのでは未来がないと言うのだ。