「学習」と「成果」の相関性を可視化せよ
多くのインプットが求められるオンボーディング期間に、いつでもどこでも自分自身で振り返りを行うことができる環境を提供するのが、同社のツール「Trailhead」だ。トレーニングコンテンツの集約やパーソナライズされたトレーニングコースの作成、やる気を継続させる評価・表彰の仕組み、学習状況とその効果の可視化など、多様な機能が特徴として挙げられた。
学習効果が成果につながっているかを人材育成におけるゴールとして捉える必要があるが、「弊社のBIツールTableauが営業活動に関連するさまざまなデータを分析し、学びと成果の相関性を可視化するため、人材育成部門自体が常に進化できるようになる」と安田氏は説明する。
次の折れ線グラフは、入社後のパフォーマンスの推移を可視化したもの。青い線はハイパフォーマーの推移、黄色はローパフォーマーの推移を示している。このガイドによって、新たに入社した社員が辿るべきオンボーディングのプロセスを視覚的に把握することができる。
学び、つながる環境への投資を怠らない
セッションの中盤では「理想のオンボーディング」の話題に。最適なオンボーディングを実現するうえでは、会社が蓄積したノウハウの適切な提供を実現にする体制とツールの整備が求められる。そうしたニーズに応えるツールとして学習プラットフォーム「Learningforce」が紹介された。エグゼクティブからのメッセージや社内専門家によるレクチャー、営業マネージャーのデモ実演、大型商談を受注した営業の生きたノウハウなど、300以上のコンテンツが集まる同サービス。YouTubeのようにコメントやレーティングの機能も備えられているという。
また、安田氏は同社内で独自に構築した「タレントペディア」――リモート環境下でも社員同士のつながりを創出するプラットフォームを紹介。いわば社員名鑑のような役割を果たしている同ツールでは、在籍する社員のページにアクセスすると、組織の中で「どのような領域で活躍しているか」「何のスペシャリストなのか」などの情報を知ることができる。
オンライン環境下でのオンボーディングの大きな課題として指摘されている「社内コミュニケーションの希薄化」に対するアプローチとして、セールスフォース・ドットコムでは入社時期に関わらず「社員同士がつながりやすい環境づくり」に注力している様子が語られた。人材育成においては、こうした「学びやすい」「つながりやすい」環境づくりへの投資は欠かせないと強調したうえで、安田氏は次のように続ける。
「社員という個人カルテを中心に、パフォーマンスやアンケート結果、本人からのフィードバックなど、360度のあらゆる情報が紐づけられていることがポイントになるでしょう」(安田氏)