「3K」の営業マネジメントは通用しない
データドリブン(Data Driven)という言葉をご存じでしょうか。狭義にはデータの集積や分析によって決定を行うことを指す言葉ですが、ビジネスにおいて活用される機会が増えてきました。Google Trendsでこの10年間における検索の人気度を調べるとキーワード自体が広まっている様子を見ることができます(図1)。
さて、SalesZineの読者の多くは、営業組織に関係している方だと思います。私が新入社員のころは、3K(勘・経験・気合)が未だ営業マネジメントの中心にあり、役職者が毎日、激を飛ばすという構造になっていましたが、次第にプロセスが定量的に測定され、効率的な活動方法を営業企画部門が考えるというように潮流は変わってきました。
ところが、コンサルタントとして多くの企業に関わる中で、「データの集積や分析はできるが、それを使って改善策を打つことができない」というご相談を受ける機会が多くあります。また、そもそも多くの企業ではデータを「営業活動の足りない部分を指摘するため」に使っており、現場にとっては正しく活動を入力するインセンティブが働きづらい状態にありました。結果、データの精度も悪化する……という悪循環に陥っています。
さらに言えば、KPIで細かくマネジメントをしていても、最後はKPI目標を達成するために、「がんばれ!」「やりきれ!」という3Kのメンタルモデルから未だに抜け出せていない組織は少なくありません。
ところが、最近になり、「取得したデータをいかに活用するのか」だけでなく、「営業活動に活かせるデータをいかに取得するのか」という考え方が広まり、先進的な取り組みを行う企業も増えてきました。背景には、コロナ禍によってリモートワークが普及した結果、これまでの「3Kドリブン」な組織運営はますます困難になったことなども挙げられます。
これからは、データドリブンコンサルティング(DDC)、データドリブンセールス(DDS)、データドリブンマネジメント(DDM)などのキーワードがさらに拡大していくと筆者は予想しています。
そこで、今回はコンサルタントとして実践している、最新のデータドリブンな取り組みをご紹介しながら、「現場で活用されるデータのあり方」そして、活用によって得られる効果について解説をしていきたいと思います。