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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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企業の競争力を高める「営業DX」とは? 日本の営業組織の未来を探る powered by SalesZine

2024年4月18日(木)14:00~15:30

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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事例で学ぶ! 営業組織のデータとの向き合い方

「私の力不足」で終わらせない! 人を責めないデータ活用×システム思考で業績を左右する変数を見つけよう

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 VUCAの時代と言われて久しいですが、この言葉は1987年にウォーレン・ベニスとバート・ナナスがリーダーシップ理論の中で最初に用いたと言われています。最近はコロナ禍、天災、世界情勢の変化などの影響もあり、ますます将来を予測しづらくなっています。そのような環境下では広い視野で複数の想定を持つことが重要になります。データドリブン(Data Driven)というテーマで解説してきた本連載、前回はテキストマイニングによる定性情報の定量化について紹介しました。今回は、将来を予測する経営モデルづくりとシミュレーションについて解説します。

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「私の力不足ですみません……」で終結させない

 我々は日常のビジネスシーンにおいて、さまざまなリスク想定をしながら施策を進めています。『シナリオ・プランニング 未来を描き、創造する』(W.ウェイド/英治出版)では、「未来がどうなるかを当てようとするのをやめて未来がどうなりうるかを理解するために力を注ぐこと」の重要性が語られていますが、常に目の前の成果を求められるビジネスにおいて、未来に向けたメカニズムを考えることは容易ではありません。

 筆者はコンサルタントとして、多くの企業の企画設計に携わってきました。ひとつの施策を実行するにも多くの外部影響があり、すべてを事前に想定して対応することは不可能です。実行した施策が、想定外の結果に終わることももちろんあります。しかしながら、施策と結果との間にある変数(要因)を棚卸し、仮説を立てておくことと、想定外の事象が起きた後に何が影響したのかを分析し、仮説をブラッシュアップすることが重要ではないかと考えています。

 他方で、期待した成果が得られなかった際に、その原因を担当者の能力問題に帰結させてしまう場面にも遭遇します。「私の力不足ですみません……」というような発言で議論が終結してしまうケースです。実際、筆者は企業の教育にも携わる中で、スキルや知識の充足によって施策の改善が可能であることを実感してきました。その一方で、卓越した能力や労働の質量に関して、「過度な負担」を強いられなければ成立しないケースにおいては、業務の構造、言わば「システム」のどこかに不備があると考えるべきでしょう。

周辺環境を捉え、根本的な解決策を探索する

 そこで役立つのが「システム思考」です。分析対象を複数の構成要素からなるシステムとして捉え、各要素がどのように相互に影響を与え合いながら、全体としてどのような機能を果たすのかを考えるアプローチ(参照:『[実践]システム・シンキング』 (湊宣明/講談社)です。

 その特徴は、人を責めず、そのような状況に陥ってしまう周辺環境(システム)に視野を広げ、根本的な解決策を探索することにあります。システム思考を有名にしたのは、1970年に世界中の有識者が集まって設立されたローマクラブの報告だと言われています。地球の生態系を人口、天然資源、環境汚染、経済、食料のシステムでモデル化し(図1)、再生する速度以上のペースで地球上の資源を人間が消費し続けると、世界経済の崩壊と急激な人口減少が2030年までに発生する可能性があると推定しました。地球の成長の限界は当時の世界各国に衝撃を与えました。

図1 地球の成長の限界
『成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』(D.H.メドゥズ/ダイヤモンド社』をもとに作成
クリックすると拡大します

 システム思考は我々の身近な課題解決にも役立っています。たとえば、ビッグデータの分析から、ある国道沿いの交差点で急ブレーキをかける事象が多発していることが判明し、改善のための要因分析が行われました。結果、植栽帯があり見通しが悪いという「構造」が歩行者を意識した行動ができないというドライバーの「振る舞い」を助長し、急ブレーキが多くなるという「結果」を生み出しているとの結論に至りました。

 そこで、植栽帯の剪定作業をしたところ、急ブレーキが7割も減少したのです。もちろん、見通しの悪い場所を通過するとき、ドライバーがより注意深く運転をすべきという考え方もあります。しかしながら、人の能力や姿勢に依存したアプローチには限界があり、根本的な解決につながらないケースもあります。システム思考はこのように事象が発生する構造(システム)を捉えて、解決策を検討する考え方です。

図2 急ブレーキ多発地帯での解決策 (国土交通省ホームページから引用

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業績を左右する変数を導き出す ビジネスでの活用例

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この記事の著者

リクルートマネジメントソリューションズ コンサルティング部 シニアコンサルタント 松木 知徳(マツキトモノリ)

2007年リクルートマネジメントソリューションズ入社。コンサルタントとして企業の人材開発・組織開発に従事し、数々の表彰を受ける。テクノロジーや科学的な理論をもとにした科学的な営業組織づくりの支援や従業員のモチベーションの要因を研究し、新サービスの開発、メディアでの執筆活動や企業での講演などを多く行っ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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