「業績」以外でマネジメント適性をどう測るか?
多くの営業部門において評価を実施する際、「営業業績」はもっとも納得度の高い指標ではないでしょうか。目標基準に対して達成・未達の基準が明確にあり、安定した業績を挙げる人は組織から信頼を受けています。しかしながら、顧客接点において、マネジャーが行ってきた成功体験がそのままメンバーにとっても成果につながるとは限りません。個人の特性(スキル・知識もしくは性格など)の差異により向き不向きがあるからです。
一般的に、マネジャーは次の4つの成果を求められています(図表1)。マネジャー業務には「仕事の側面」と「人の側面」があり、組織の業績目標を達成し、より効率的な活動ができるようにしていくことは仕事の側面になります。一方、メンバー同士の協働を促し、メンバー自身が成長をしていくための支援を行うことは人の側面となります。短期と中長期、仕事と人のバランスを取りながらやりくりをするというプレイヤーにはない葛藤があるわけです。
筆者はコンサルタントとして、多くのクライアントの業績向上支援を行ってきました。よく相談をいただく内容の中に上述のような「マネジメント適性の問題」があります。マネジメントに向いているか否かを判断する基準がなく、業績の良かった人をマネジャーとして任用した結果、期待していた結果につながらないケースが多くあるのです。
このようなときに、業績以外の手段で評価をする方法として、アセスメントを導入することがあります。アセスメントは、個人の現在の能力やパフォーマンスと、求められる状態や理想的能力レベルとのギャップを明らかにしてくれるツール(※参照『リーダーシップ開発ハンドブック』(シンシア・D. マッコーレイほか/白桃書房))です。多くの企業で導入されていますが、さまざまなデータと掛け合わせることで多くの示唆が得られることは意外に知られていません。それでは具体例を見ていきましょう。