データ入力の不備検知を「半日の人力パトロール」から自動化
――おふたりの現在の役割・業務とキャリアについてお聞かせいただけますか。
笠原 私は2019年10月にTAPPへ入社し、マーケティング部門でSalesforce、およびマーケケティングオートメーション(MA)ツールPardotの運用・管理を担当し、セミナーへの来場を高めるためのメール施策、リマインド施策に取り組んでいます。前職のウェブ制作会社でディレクター職を経験後、マーケティング部門の立ち上げに参画し、社内のSalesforceの導入運用担当となりました。当時の経験がいまの役割につながっています。
和泉 私も2019年にTAPPに入社し、経営管理部・人事部でシステム導入・運用に携わったのち、2021年の2月にマーケティング部に異動になりました。現在はSalesforce中心に営業・マーケティングのデジタル化を進めています。新卒で入った企業では未経験のプログラマーとしてソフトウェア開発やプログラミングの講師などを経験しました。
――Saleforceの導入後、どのように業務に定着させていったのか経緯をお聞かせください。
和泉 当社ではお客様向けの不動産セミナーをほぼ毎日開催しており、毎回約20人ほどに参加いただいています。以前は累計で年間1万人近い個人情報をExcelに入力して管理していたのですが、データ共有・連携がされておらず、セミナー後のフォローも十分とは言えませんでした。そこで、改善を目的にトップダウンで導入が決まり、2018年夏にはSalesforceのアカウントを取得しました。
私が入社した2019年当時は、営業社員が実際に使える状態ではなかったため、本格的な利用画面づくりを同年1月にスタートしました。項目の過不足やレイアウト調整を行い、同年4月に初版をリリースしたのですが、入力はしてくれるものの、「データを入れるだけならExcelと同じ」という雰囲気がまだあったんです。実際の営業業務に活用されているとまでは言い難い状態でしたが、使い続けることで提示できる価値があるはずと考え、「使ってもらえない理由」を解消することを考えることにしたのです。
笠原にも協力してもらい、ヒアリングを行ってみると、使い勝手の面で慣れなかったり、重かったり……、さまざまな要望が出てきたので、さしあたって「使いやすい画面開発」を目標にするところからはじめました。たとえば、表現の自由度が高いテラスカイの「SkyVisualEditor」を使って、見た目のわかりにくさを排除したのもそのひとつです。営業の入力のしやすさを意識した画面が完成し、2020年8月に全社リリースしました。それまで軽微な変更はしていたのですが、大きな画面改修を行ったのはこのときが初めてでした。
笠原 並行して行っていたのが「自動化」です。かつては入力されたすべてのデータについて、週1回データパトロールを行い、間違っているところなどを見つけて営業担当者にフィードバックし、修正してもらっていたんです。パトロール作業は週に1回、半日かけて全員分の内容を確認しており、かなり無駄な作業ではないかと思っていました。
そこで、入力ミスや漏れを自動的に発見し、担当者までSlackが飛ぶよう自動化を図りました。Salesforceの機能であるプロセスビルダーとApexを使って飛ばす方法、レポートを作成してスプレットシートに読み込んで通知する方法のふたつを用い、いまではほとんどのミスや漏れを検知して通知できています。それでもまだ人間が確認する部分はあるのですが、1時間以内で済むようになりました。
和泉 さらに営業担当者を対象にした勉強会を開催し、Slackで通知されたあと、どう修正すれば良いかという説明に加え、なぜSalesforceに入力する必要があるのか、入力したデータがどう使われるかを知ってもらう機会としました。それらの取り組みによって、Salesforceへのデータ入力が浸透していったように感じます。