Marketo Engage活用×ルール見直しで見えてきた、本当の課題
そこには「インサイドセールス業務への理解不足」そして「高スコアにもかかわらず商談が獲得できない」というふたつの課題があった。
「インサイドセールス業務への理解不足」は、「有効なリードを渡せば効率的に架電できるだろう」というマーケティング側の思いと、インサイドセールス業務の実態に乖離があったことが直接の原因だ。
リードの属性情報だけを渡されても、インサイドセールスの担当者は「何をフックに架電するべき相手かわからない」「本当に架電できる状態のリードかわからない」など、架電するまでに時間をかけてリサーチをする必要があった。実際にリードの精査をしてみると、架電できないリードが含まれているケースも多くあったという。そこで当初の改善シナリオに「インサイドセールス業務のルール化」「データ整備と自動化」のフローを追加し、Marketo Engageを利用してこれらふたつのシナリオを進めることにした。
情報を一元化しインサイドセールス業務のプロセスを理解したうえで、「有効リードと無効リードの振り分け」「対応ステータスの明確化」など、これまで時間がかかっていた業務を明文化し、Marketo Engageで自動化。これにより業務の効率が上がり、商談数が増えていったという。
また「高スコアにもかかわらず商談が取れない」というふたつめの課題については、スコアリングの方法を抜本的に見直した。小さな行動でも加点するそれまでの方法では、情報収集の段階でサイトを訪問したりメールを開封したりするだけでも、スコアが長期間かけて“チリツモ”で高くなってしまい、見込み客のホットなタイミングやモチベーションに合わせたアプローチができていなかった。
そこで、スコアの積み上げではなく「そのときの行動=モーメント」にフォーカスする方法に切り替えた。短期間でスコアを0点にリセットすることに加え、小さな加点は積み重ねず、「金額ページ閲覧」や「検索流入」などの検討確度の高いコンテンツに配点を高め、理由とともにインサイドセールスにリードを渡すようにした。その結果、インサイドセールスは架電の理由を明確にし、旬を逃さずアプローチすることで、ナーチャリングリードからの商談数を増加させることができた。
これらの施策によって、現在では新規リードに頼る状況が改善されただけでなく、お盆や年末年始など、新規リード獲得数が少ないときでも商談が獲得できるようになったという。また、大きなイベントで一気に新規リードを獲得した後にナーチャリングを目的としたセミナーを実施できるようになったり、インサイドセールスからもパーソナライズされたメールを送り、顧客の反応をきっかけにアプローチができるようになったりするなど、マーケティング、インサイドセールス部ともに施策の幅が広がり、活動のスピードを上げることにもつながった。
これらの改善プロセスを進めた結果、定量的な成果も大きく出るように。当初の課題であった再育成の仕組み化によって、ナーチャリングによる商談数は3.2倍にまで増加。また、MAを運用することで問題が顕在化してきたスコアリングの見直しによって、ナーチャリング施策による商談率はさらに2.7倍になった。そして、インサイドセールスの業務の負担となっていた手動オペレーションの自動化とデータ整備により、新規リードへの架電効率化を実現したことで、全体の商談獲得数も1.8倍になったという。
講演のまとめとして遠藤氏は、ヤプリの取り組みの成功要因として「部門横断的なデータ・ルール整備」「MAによる自動化」「アタックしやすいスコアの運用」の3つを挙げ、「どこが自社にとってのボトルネックかを考えてみてほしい」と語った。
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