シンプルで答えやすく、営業が思い込みから脱却できる設問設計
商談進行におけるプロセス管理を実践していくために、Selfaの「Q&S」で意識したのが「使いやすさ」だという。煩雑な営業行程を記録するのは誰もが嫌うもの。「はい/いいえ/わからない」の三択で、商談中でも入力できるような簡便な方法にこだわった。さらに、商談進行に重要な視点の往来を松本氏は「山は登るもの、海は潜るもの」と表現する。
「たとえば、ひと言で『課題』と言っても現場から経営層まで下から上にあがるほど見えてくる景色は異なります。そして、全体把握から詳細へと深く掘り下げて理解していく必要があります。これらの情報を適切に得るためには自分目線ではなく、相手の立場に立ってヒアリングができるような設問を用意する必要があります」
また、「AだとしたらBですか?」というように条件づけされ、分岐して回答を求めるものも営業担当者を混乱させやすい。商談進行を正しく導くためには基本的に1問1答型で、正しく状況把握ができるよう設問設計を行う必要がある。SelfaではBtoB商談における「Q&S」が用意されており、それを標準的な商談進行のひな形として利用することができる。細かなノウハウにより、営業は思い込みから脱却し、適切な行動や質問ができるようになっていくというわけだ。案外、ベテランでも抜け落ちや癖があり、それに気がつくきっかけにもなるという。
「もちろんQ&Sは商材や企業の状況に応じ、カスタマイズや独自のQ&Sを作成して利用することもできます。その際におけるQ&Sの作成スキルは、まさにマネージャーが部下を正しく導くためのコミュニケーションスキルと同様だと考えています」(松本氏)
「若手と中堅、ベテラン問わず、インターネットの普及の結果としてお客様の購買プロセスが変化していることや、製品サービスのライフサイクルが短期化していることにどう対応するか。担当者自らの成功体験や苦手意識から『やりやすいほう』に傾いてしまうことをどう避けるか。Selfaの商談進行支援により、本人またはマネージャーが失注や受注に至るプロセスのなかで客観的な『気づき』を得、対話することで、結果の質の向上につながっていきます。また、Selfaの利用により商談進行の標準化においてPDCAを回すことが可能になります。Q&Sもそれに合わせて進化させていくことが大切だと考えます」(小林氏)
なお、これらの心構えは営業支援を行っている人からすれば当たり前に思えるかもしれない。しかし、オフィスで直接会って無意識に行っていた質問も、リモート中心の現在の環境下では行いにくくなっていないだろうか。たとえば、ちょっとした空き時間の雑談で「前回の訪問で誰に会った?」というように集めていた情報も、リモートではあらためてテキストに起こして確認する必要がある。まして支援が必要な営業担当者ほど、「何を聞くべきわからない」と躓いていることも多い。遠慮がちになり、SlackやZoomなどでは自ら聞いてくることはまずないと言っていい。仕事のオンライン化で「個業化」が進行するなかで、いかに情報を集め適切な支援を行うかは、マネージャーにとって大きな課題になりつつある。
ビジネスマネジメントが、とあるBtoBのIT企業に対して実施した調査では、商談の状況確認にはオンライン会議のほうが約27%も多い時間を費やしているが、アドバイスや雑談などに費やされる時間は半分近く減ったということがわかった。状況確認に終止し、本来リアルでなされていたノウハウの伝達やアドバイスが十分になされていないことが伺える。
「オンラインでの質疑応答では、どうしても質問が定型化して十分な情報伝達が難しい状況にあります。商談進行の情報を簡易に取得できるSelfaを活用することで、取りこぼしがちになる項目までもあらかじめ把握することができ、営業会議では状況確認ではなく仕事上の雑談やアドバイスに時間を使うことが可能になります」(松本氏)