SMBは、中小企業の経営者・役員・管理職を対象に、「中小企業におけるDX推進の実態と課題」に関する調査を実施した。
中小企業のDXは約半数以上が「進んでいない」と回答、導入したいシステムツールは?

はじめに、「あなたの会社では、業務のDXはどの程度進んでいるか」について質問したところ、次のような回答になった。
- かなり進んでいる(11.5%)
- ある程度進んでいる(33.6%)
- あまり進んでいない(28.7%)
- まったく進んでいない(26.2%)
DXに着手しているものの、十分に進んでいると認識している層は限られていることが示された。
次に「DXが進まない理由」について質問ところ、「社内にIT人材がいない(36.3%)」と回答した人がもっとも多く、「何から始めればよいかわからない(21.3%)」「DXにかけられるコストがない(20.9%)」と続いた。専門人材を確保できないことで、DXの企画段階からつまずいている様子がうかがえる。
また、「何から始めるべきかわからない」という回答が上位にあることから、情報や指針の不足も進捗を妨げている要因と考えられる。コストや時間の制約も考慮すると、DXは意欲の問題ではなく、実行体制の構築そのものがハードルになっていると考えられる。

業務DXの進捗度合いで「かなり進んでいる」「ある程度進んでいる」「あまり進んでいない」と回答した人に、「現在導入しているシステムツールの種類」について質問したところ、「給与・勤怠管理(43.2%)」と回答した人がもっとも多く、「会計(34.0%)」「顧客管理(CRM)(27.2%)」と続いた。
導入しているシステムツールは、給与や会計など業務上不可欠な領域に集中していることが示された。これらは法令対応や日常業務に直結するため、優先的にデジタル化が進んでいると考えられる。
また、業務DXの進捗度合い別の導入システムツール項目数の平均は、次のような結果になった。
- かなり進んでいる:2.7項目
- ある程度進んでいる:2.2項目
- あまり進んでいない:1.9項目
DXが進んでいる企業ほど、導入しているシステムツール数が多い傾向が見られた。
業務DXの進捗度合いで「かなり進んでいる」「ある程度進んでいる」「あまり進んでいない」と回答した人に、「自社におけるDX推進の成果について、どの程度満足しているか」と質問したところ、約6割の人が「とても満足している(15.2%)」「ある程度満足している(46.5%)」と回答した。
約6割が満足と回答していることから、DXについて成果を感じている企業が一定数存在することが示された。一方で、「とても満足している」と回答した人の割合は限定的で、多くが「ある程度満足している」という評価にとどまっていた。

全員に、「どのようなシステムツールであれば導入してみたいと思うか」について質問したところ、「初期費用や月額費用が安価(35.6%)」と回答した人がもっとも多く、「導入や操作が簡単で、専門知識がなくても使える(35.4%)」「自社の業務フローに柔軟に対応できる(25.4%)」と続いた。
「コスト」と「使いやすさ」が上位に挙がったことから、中小企業にとってシステムツールの導入自体が、依然として慎重な判断を要する取り組みであることがうかがえる。
システムツールの多様化が生む“新たな非効率”

導入システムツール項目で、ふたつ以上選択した人に、「システムツールが複数あることで発生している課題」について質問したところ、「システムツール間で再入力の手間がある(41.5%)」と回答した人がもっとも多く、「アカウントやパスワード管理が煩雑(35.0%)」「表計算ソフトでの再集計が必要になっている(33.6%)」と続いた。
システムツールを導入した結果、かえって作業が増えている実態が浮かび上がった。
業務ごとにシステムツールが分断されることで、情報の一貫性が保たれず、手作業が残っている様子がうかがえる。DXが効率化ではなく複雑化につながるケースもあり、全体設計の重要性が示された。
業務DXの進捗度合いで「かなり進んでいる」「ある程度進んでいる」と回答した人に、「DXを進めたことで逆に作業が増えたと感じた経験はあるか」について質問したところ、8割以上の人が「とてもある(26.2%)」「ややある(56.3%)」と回答した。
多くの企業がDXによって、作業量の増加を感じていることが示された。
続いて、業務DXの進捗度合いで「かなり進んでいる」「ある程度進んでいる」「あまり進んでいない」と回答した人に、「DXを進めたにもかかわらず、紙や表計算ソフトに戻った(または併用している)理由」について質問した。その結果、「入力に時間がかかる(30.1%)」と回答した人がもっとも多く、「システムツールが業務に合っていない(28.6%)」「システムツールでは対応できない業務がある(28.5%)」と続いた。
入力に時間がかかることがもっとも多く挙げられた点から、DXによって作業工程が単純化されるどころか、現場の負担が増しているケースが存在することが示された。前の質問で見られた作業増の実感とも整合しており、システムツールを導入しただけでは業務改善につながらない状況がうかがえる。
現場が求める理想のシステムツールにはどのような要素が必要か

「中小企業の現場に合うシステムツールが不足している理由」について質問したところ、「同じ業種でも会社ごとに業務フローが異なる(33.7%)」と回答した人がもっとも多く、「業務内容が会社ごとに異なり、標準化しづらい(33.5%)」「『人がシステムツールに合わせる』前提で作られている(32.3%)」と続いた。
中小企業の多様性が、システムツール開発の難しさにつながっていることが示された。

最後に、「中小企業の現場に合うシステムツールに必要だと思う要素」について質問したところ、「操作が直感的で、ITに詳しくない人でも使いやすい(27.8%)」と回答した人がもっとも多く、「現場ごとの業務フローに柔軟に対応できる(22.3%)」「自社の業務に合わせて柔軟にカスタマイズできる(22.0%)」と続いた。
「操作のしやすさ」がもっとも重視されている点から、中小企業の現場ではITスキルを前提としないシステムツールが求められていることが示された。加えて、「業務フローへの柔軟な対応」や「カスタマイズ性」が続いていることから、画一的な仕組みでは実務に適合しにくい状況がうかがえる。
【調査概要】
「中小企業におけるDX推進の実態と課題」に関する調査
調査期間:2025年12月20~23日
調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
調査人数:1,008人
調査対象:調査回答時に中小企業の経営者・役員・管理職と回答したモニター
※業種:ブルーカラー業種(製造業、建設業、運輸業などが対象)
調査元:SMB
モニター提供元:PRIZMAリサーチ
