Dropboxの日本法人であるDropbox Japanは、「Dropbox Dash」に関する発表を行った。今後、Dropbox DashのAI機能が、Dropbox内でも利用できるようになる。こちらは一部の米国のユーザーには提供が開始されており、数ヵ月後にはさらに多くのユーザーへの提供を開始する予定である。また、米国ではアプリ版Dropbox Dashが、Dropboxのセールス部門を介さずにオンラインで導入できるようになった。

提供開始の背景
Dropboxの環境にDropbox DashのAI機能が搭載されることで、よりスマートな検索機能をはじめ、インテリジェントな整理機能、時短に役立つ要約機能が可能となる。Dropboxに統合されたDropbox Dashに質問をすると、Dropboxに保存された資料やメディアに基づいて、文脈に沿った回答を取得できる。既存のアカウントに保存されているすべてのコンテンツが学習の対象となるため、ユーザーがDropboxを使えば使うほど、Dropbox Dashの理解度が深まり、検索結果の精度も向上する。そのため、より関連性のある回答が期待でき、作業の効率化に役立つ実用的な情報が取得できるようになる。
「Dropbox Dash」の概要と市場の課題への対応

一般向けのAIツールは、業務に必要なさまざまな文脈を理解するように設計されていない。さまざまな企業が、既存のアプリにAIを連携しているが、AIがアクセスできない外部アプリや、ツール上で行う作業まではサポートしていない。実際に、AIツールの95%が試験段階を超えられず、導入の定着が難しいと言われている(※1)。
このような課題に応えるために、DropboxはDropbox Dashを開発した。アプリ版Dropbox Dashは、Dropboxをはじめ、Slack、Microsoft 365、Notion、Canvaなど、業務で使うツールと連携が可能で、パーソナライズされた検索エンジンとしても、AIアシスタントとしても利用できる。またDropbox Dashは、文脈を捉えるコンテキスト・インテリジェンスを搭載しており、日常業務で扱うさまざまなコンテンツ、ツールに対応しているため、必要としている情報を得ることができる。
日本のナレッジワーカーは、AIを業務利用することで、労働生産性が上がることをもっとも期待している(83.5%)(※2)。さまざまな外部ツールと連携ができるDropbox Dashは、業務効率の向上を支援する。
また、日本のナレッジワーカーの18.6%は、AIを業務で利用したくない理由としてセキュリティの不安をあげている(※2)。Dropbox Dashは、ユーザーのデータを販売したり、生成AIモデルの構築に利用しないため、安全に利用が可能である。
※1「The GenAI Divide STATE OF AI IN BUSINESS 2025」
※2「Dropbox Japan、「ナレッジワーカーの AI 利活用に関する実態調査」を発表 (2024.7.23リリース)」
アプリ版「Dropbox Dash」の主な特徴
アプリ版Dropbox Dashの特徴は次のとおり。
- 会話のような検索:「秋の発表用のコンテンツカレンダー」のようなコンテンツから、「砂漠の夕焼けの撮影」の編集データまで検索が可能である。PDFからPNGまで、Dropbox Dashのマルチモーダル検索を使うと、同質するような言葉で検索ができる。
- 仕事に関する回答を取得:「クライアント提案書の最新バージョンの更新内容を教えて」「昨年のブランドキャンペーンのレポートをまとめて」とDropbox Dashに聞くだけで、タブやツールを切り替えることなく回答を得ることができる。得た回答を、AIを活用した文章作成機能に入れることで、次の作業工程を作ることも可能となる。
- Stackで最新の状態に同期:Stackは、コンテンツをリアルタイムで整理、共有できる。ファイル、リンク、更新情報をひとつの場所でまとめて管理することができ、メンバー全員が最新の情報にアクセス可能である。「このプロジェクトの要約を作成して」と指示すると、そのプロジェクトに特化した回答を得ることもできる。
- アクセス管理機能でコンテンツの安全性を確保:Dropbox Dashは、Dropboxが常に追求するプライバシーとセキュリティの原則にのっとっている。ユーザーのデータを販売したり、生成AIモデルの構築に使用しないため、コンテンツの所有権はユーザーとなる。
マルチモーダル機能とワークフローへの活用
動画の中からも回答を見つける
DropboxはAIスタートアップ企業のMobius Labsを迎え、Dropbox Dashのマルチモーダル機能の向上を目指している。Mobius Labsは、大規模なマルチメディア処理に最適化された独自のAIモデルを開発しており、動画、音声、画像のいずれを扱う作業でも、Dashでより複雑な検索や回答のワークフローをサポートできるようになる。
Model Context Protocol(MCP)を活用したワークフロー
Dropbox Dashは、すでに使用しているツールと連携するだけでなく、そのツール内でも動作する。今回発表したDropbox DashのModel Context Protocol(MCP)サーバーを使用すると、Claude、Cursor、GooseなどのMCP対応アプリ内で、コンテンツを安全に検索できる。タブの切り替えや情報のコピーペーストは不要であるため、メールの作成中でもコードのレビュー中でも、Dropbox Dashで必要な回答や情報が得られる。
