日立システムズは、「営業向けアシスタントAI」の提供を開始することを発表した。同サービスは、マイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を活用し、日立システムズが持つ生成AIユースケースを実装したものになる。

厚生労働省が2025年7月に発表したデータ(※)によると、営業職の有効求人倍率は2.15倍に達しており、全業種の平均である1.09倍大きく上回っている。
また、日立システムズの営業担当者を対象に調査を行い、営業プロセスにおいてさまざまな業務課題があることがわかった。インサイドセールスにおいては、「カタログなど営業コンテンツの作成に時間がかかる」「メールやテレマーケティング時のトークスクリプトの作成に時間がかかる」などの業務効率化に関する課題が発生。一方、フィールドセールスにおいては、「商談中に出た急な要望や質問に対しタイムリーに的確な商品が紹介できない」、「取り扱い商材が多数あり内容を把握できない」といった情報整理に関する課題が挙げられた。
日立システムズは、これらの課題を解決するために、社内実証の結果をもとに、同社の営業業務におけるドメインナレッジとAIを組み合わせたサービスとして営業向けアシスタントAIの提供開始に至った。
※出典「一般職業紹介状況(令和7年7月分)について」(厚生労働省)
概要
営業向けアシスタントAIは、営業担当者の業務をサポートするAIパッケージ。同サービスは、顧客の社外向けウェブサイトに掲載されている商品情報のデータ、顧客がカタログや提案資料を作成する際に参考にする用語集などの表現ガイドラインのデータをAIが分析し、営業プロセスの効率化と営業活動の質向上をサポートする。
同サービスを開発するにあたり、日立システムズの営業担当者を対象とした社内実証実験を行った。実証実験ではAIを活用し、インサイドセールスにおいて、カタログなど営業コンテンツ作成時の審査にかかる時間と、テレマーケティングのトークスクリプト作成にかかる時間をそれぞれ約50%削減した。
フィールドセールスにおいても、商談の前に想定問答集(商品Q&A)を同サービスが作成することで営業担当者のスキルに依存せず問答集を準備でき、提案の質が向上したというポジティブな声も挙がった。また、顧客からの問合せ内容をもとにAIで商品を選定し、スピーディーな問い合わせ対応を実現した。
特徴
1.AIチャットによる営業サポート機能で「提案力をアップ」
営業フローにおける事前活動にあたる調査や資料作成のほか、提案段階においては要件の抽出・製品の比較表作成などさまざまなプロンプトを標準搭載。エンドユーザーのニーズに応じた情報をスピーディーに提供することで、商談のスピードと質を向上させる。
2.チェック機能でブランドガイドラインをチェック。営業コンテンツの質を「標準化」
AIが顧客の社内に存在する固有の表現をまとめた用語集などのブランドガイドラインを学習し、ウェブサイトやカタログを制作する際にガイドラインに沿った表現になっているかをチェックする。これにより、担当者のスキルに依存しない、営業コンテンツ作成を可能にする。
3.商品情報をAIが学習し、把握作業を効率化。タイムリーな対応が可能に
顧客のウェブサイトに掲載されている商品情報をAIが学習。商品概要やよくある質問集、トークスクリプトなどの作成業務を効率化でき、エンドユーザーの問い合わせへのタイムリーかつ質の高いレスポンスを可能にする。
