Archaicは、AI技術を活用した「ハラスメントチェックAIサービス」において、Microsoft TeamsとSlackに対応する機能を新たに追加した。この機能強化により、ハラスメント予兆の早期検知と対策をあと押しする。
機能追加の背景
厚生労働省が2020年に施行した「パワーハラスメント防止法」によって、企業にはハラスメント防止措置の義務が課せられている。しかし労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によれば、多くの企業が対策を進めているものの、ハラスメントの発生件数は依然として高い状態にある。とくに、職場でのパワーハラスメントは全体の約32.5%の労働者が経験していると報告されており、心理的健康や離職率に影響を与える重要な要因となっている。
また、日本労働組合総連合会の報告によると、さまざまな従業員がハラスメントに対処できない状況にあり、十分なサポートが提供されていないケースもあることが明らかになっている。
このような背景の中で、とくにデジタルコミュニケーションツールを介した「オンラインハラスメント」のリスクが増加している。TeamsやSlackなどのコミュニケーションツール上でのハラスメントは、対面と異なるかたちで発生しやすく、その監視と予防が必要である。
今回Archaicは、AI技術を活用したハラスメントチェックAIサービスにMicrosoft Teams、Slack対応機能を追加し、企業がこうしたツール上でのハラスメントを早期に検知し、対策を講じられるようサポートする。この新機能により、従業員の精神的健康を守り、企業のコンプライアンス強化にも貢献することが期待される。
引用元:Ministry of Health,Labour and Welfare,Bright Workplace Support
新機能の概要
1.ハラスメントインシデント一覧
本機能は、ハラスメントの発生状況をリアルタイムで確認するためのダッシュボード。AIがハラスメントに関連するインシデントを検出し、それを定量的に表示する。各インシデントの発生日時や関連する会話の内容も表示されるため、管理者は問題の根源を特定し、対応を取ることが可能になる。また、画面上のURL(Slack、Teamsアプリマーク)をクリックすると、実際のSlackやTeamsアプリケーション内で詳細を確認できるため、企業はハラスメントに対処し、問題の拡大を防ぐことができる。
2.ハラスメント各メッセージ数と分類状況の確認
本機能は、特定の期間におけるハラスメント関連のメッセージ数や、メッセージの分類状況を把握するためのもの。AIが各メッセージを「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」などの7種類のハラスメントに分類し、その割合を可視化する。また、年・月・日別で確認できるため、企業はどの種類のハラスメントが発生しやすいか、どの部門や時間帯で問題が生じているかを詳細に分析できる。これにより、効果的な対策を講じるための基礎データとして活用できる。
3.ハラスメント分類とハラスメントポテンシャルのスコア化
AIが検出したハラスメントのポテンシャル(潜在リスク)をスコア化し、リスクの高い領域や人物を特定する。ハラスメントポテンシャルスコアに基づいて、管理者は高リスク領域に介入し、問題が顕在化する前に予防措置を取ることができる。これにより、企業全体の労働環境を健全に保つことが可能となる。
これらの機能は、企業が職場内のハラスメントを未然に防ぐために、AIを活用してリアルタイムで監視・対策を行うサポートを提供する。たとえば、人事部では、Teams上のハラスメント関連発言をAIが監視し、定量データとしてエビデンスを収集することで、効率的な対応が可能となり、従業員の心理的負担を軽減する。また、経営層は、ハラスメントの発見を通じて、適切な業務改善命令を発令し、職場環境の向上や離職率の低減を図ることができる。さらに、各部門では、モチベーション管理や業務指導を通じてコミュニケーションを促進し、業務効率の向上にも貢献する。
パーソンズ 代表取締役 井関聡美氏のコメント
社内のハラスメントは離職率の観点からも重要な課題の一つですが、日々大量に発生する社員同士のコミュニケーションにおいて、ハラスメントをいかに検知するかという点に課題を感じています。また、ハラスメントは人事として対応が難しいものの一つで、内容が多岐に渡りセンシティブなものも多いのが実情であるため対応について慎重に進める必要があります。このような「AIによるハラスメント予兆検知サービス」を取り入れることで人事側の負担は最小限に、職場だけでなく顧客とのやりとりにおいても発生するハラスメントへも対応可能となります。また、企業は安全かつ健全な労働環境を維持し、従業員の満足度向上と法的リスクの軽減に寄与することが可能となります。 ハラスメントが広く周知されている今、積極的に取り入れたいサービスだと考えております。