生成AIの法人活用推進と多角的なDX支援サービスを展開するギブリーは、日産自動車が社内向けに実施したDX推進イベント「Automation Day4」(2024年7月16日(木)開催)に、企画・協力として参加し、ギブリー取締役の山川雄志氏が生成AIに関する講演を行ったことを発表した。
ギブリーは日産自動車における生成AI活用を包括的に支援している。本イベントへの企画・協力はその一環として、社員のデジタルリテラシー向上と生成AIツールの業務活用を促すため実施した。
「Automation Day」とは
Automation Dayは、日産自動車が従業員のデジタルツールに対する認識と活用を促進するために行う、社内向けDXイベント。当イベントでは、最新のデジタルツールのトレンドや機能、社内外での活用事例を共有する。2023年8月に1回目を開催し、以降は、デジタルツールを社内導入するタイミングに合わせ継続的にイベントを開催してきた。今回が4回目の開催となる。
同イベントを通じて、従業員にデジタルツールの理解度を深め、業務活用のイメージを持ってもらい、結果的に業務効率化と業務品質の向上を実現していくことが、イベントの目標である。イベントでは、RPA、電子契約、AI-OCR、翻訳システム、ローコード/ノーコードツールといったデジタルツールを扱っており、「Nissan AI-Chat」(※)については、2023年11月に社内導入したタイミングで取り上げた。そこから3回連続、さまざまな切り口から従業員に情報シェアをしている。
※Nissan AI-Chat:日産自動車の社内環境で利用する生成AIチャットツール
企画背景と目的
日産自動車でAutomation Dayが始まったきっかけは、2021年度から業務効率化ツールのひとつであるRPAを取っ掛かりとして、活用推進を進めてきたこと。そこから順次、他のデジタルツールの導入・推進を拡大し、実際に利用する従業員に対してサポートを行ってきた。それにより、業務効率化の成果を出すことができたが、2022年に実施した従業員向けのDX満足度調査では、デジタルツールの認知度が全社レベルでみると依然として低いままである実態がわかった。
これを受けて、デジタルツールの利用者へのサポートは継続しつつも、社内で利用できるデジタルツールの存在を従業員に知ってもらう必要があると考えた。そこで、従業員向けにデジタルツールの認知および活用促進を目的とした社内イベントの開催を企画することになった。
今回開催した「Automation Day4」の目的
日産自動車では、デジタルツールの社内浸透までの過程を3つのフェーズに分け、各フェーズごとの数値の評価を行っている。
ひとつめのフェーズは"Awareness"で、ツールの認識・認知の段階。この段階では、「聞いたことはあるが、あまり知らない」と回答した従業員が該当する。
ふたつめのフェーズは"Familiarity"で、ツールへの理解・関心の段階。ここでは、「ある程度知っているが、使用したことはない」と回答した従業員が含まれる。
3つめのフェーズは"Use"で、ツールの使用経験や現在の使用状況を包括する段階。このフェーズには、「使用したことはあるが、今は使っていない」という過去の使用経験者と、「使用している」という現在の継続使用者の両方が含まれる。
これまで開催してきたAutomation Dayをはじめとする社内周知活動により、各デジタルツールの認知度は改善している。本イベントでは、従業員の生成AIを含むデジタルツールへの理解を深め、ふたつ目のフェーズとなる"Familiarity"層の増加を狙いとしている。この取り組みを継続することで、実業務での活用促進を最終目的としている。 そのため、今回のAutomation Day4では、「Nissan AI-Chat、ローコード/ノーコードツール、RPAの"Familiarity"を10%以上向上させる」「各セッションの満足度90%以上を達成する」ここが重要指標として設定され、各セッションが企画された。
ギブリーの支援内容と成果
Nissan AI-Chatプロジェクトで、生成AIの活用促進に携わるギブリーは、昨年11月のAutomation Day2で、「プロンプトエンジニアリング教育」をテーマにNissan AI-Chat基礎講座を実施した。同講演は3,000人以上の社員が視聴した。
以降も、Automation Day各回の生成AIセッションをサポートするほか、選抜教育(プロンプトトレーニングワークショップ)も実施している。昨年11月から全5回にわたって開催したワークショップでは、業務に特化した30個以上のプロンプト開発をサポートし、これらはテンプレートとして現在社内で実際の業務に活用されている。選抜教育は、2024年度においても実施を予定である。
ギブリーでは、Nissan AI-Chatに関して、Automation Dayなどを利用した継続的な周知活動により、昨年11月から本年7月にかけて、月次アクティブユーザー30%に貢献し、現在では対象社員の3人にひとりがNissan AI-Chatを活用している。
日産自動車 コーポレートV-up・組織開発部 馬場宙氏のコメント
「Automation Day」は、日産内のデジタルツールを従業員に知ってもらい、活用事例を共有して「自分も使ってみよう」と思ってもらうきっかけを提供するイベントです。生成AIをベースとするデジタルツールは進化が速く、専門家でないと追いきれない部分が多いですが、会社として非常メリットの大きいツールだと認識しています。これをタイムリーかつ網羅的に分かり易く従業員に伝えていくことを日々考えています。 今回の「Automation Day4」では、ギブリー 山川様より、生成AI活用における社外の最新事例やトレンドについて、専門的なご知見をもとに、オフィス業務での活用メリットを知りたいと考えている弊社従業員の目線で講演をいただき、大変感謝しております。
今後は、デジタルツールの効果を実感してもらうために、インタラクティブなイベントや従業員同士のコミュニティ形成などを進めていきます。引き続き、ギブリー様のサポートを得ながら、社内のデジタルツール活用を推進していきたいと考えています。
日産自動車 グローバル・エンタープライズ・アーキテクチャ部 文元亮太氏のコメント
「Automation Day」を通じて、社内のデジタルツールの認知度や親しみやすさが大きく向上したことを実感しています。
ギブリー 山川様のセッションに参加した従業員からは、「自動車業界に限らず、AI活用における他社ベンチマークは、色々参考になるところがあった」、「生成AIツールの業務活用にあたっては、“タスク単位ではなく、ワークフローの全体をみた上で適用に最適な箇所を見つける”というのが盲点だった」という声が上がりました。また他社の取り組みについてご紹介いただいたことで、日産の現在の位置づけが明確になり、社内のモチベーション向上にも繋がったと考えています。
今後は、単なる認知度向上だけでなく、実際の業務での活用率を高めていくことが課題です。そのために、各ツールの利用状況を細かく分析し、部門ごとのニーズに合わせたアプローチを検討していきたいと思います。