帝国データバンクは、「決算短信」のほか「業績予想の修正」や「お知らせ」などの適時開示情報、各社のプレスリリース・ニュースリリース情報などの公開情報から、新型コロナウイルスに関連する影響や対応などについて明らかとなった上場企業を対象に調査を行った。
新型コロナウイルス感染症(正式名称「COVID-19」、以下「新型コロナ」)により工場や店舗などの休業、防疫措置など影響を受けた上場企業は、昨年12月~3月31日(午前9時)時点までに1,042社が判明。3月16日以降の約2週間で約300社増加した。
また、国内での新型コロナ感染が判明後約2カ月強で上場企業全体(約3,800社)の約4社に1社に当たる2割強を占め、1,000社規模を超えた。
3月25日、東京都の小池百合子知事が「感染爆発の重大局面」として不要不急の外出自粛を要請して以降、在宅勤務やテレワークの導入、休業・営業時間短縮などを行う企業が急増。27日に影響・対応を開示した上場企業は100社を超え、昨年12月以降で最多となった。
業種別のうち、もっとも多いのは「製造業」(334社、前回比+83社)。次いで「サービス業」(219社、同+58社)、「金融・保険業」(174社、同+57社)、などが続く。
影響を受けた1,042社のうち、具体的な影響も含め業績へのマイナス影響に言及した上場企業は計435社で、前回調査の3月16日以降、2週間で約100社増えた。このうち、「影響の懸念がある」など影響不確定の企業は240社(前回比+35社)、月次の客足・販売の減少、下方修正などで既に業績への影響が出た・今後出る見通しなど影響ありの企業は195社(同+63社)に達し、このうち下方修正などを行った企業の売上損失累計は1兆円を超える見通し。
工場等で生産調整や稼働停止といった、生産活動に影響が出た企業は115社(前回比+28社)だった。
店舗や拠点の営業休止、営業時間短縮対応など営業活動に影響が出た企業は166社(前回比+82社)判明、急増傾向がみられた。サービス提供・イベントなどの開催中止・延期は146社(同+37社)に上った。当初、2月末から3月15日頃までの期間で店舗の営業時間短縮措置などを取った企業が多いなか、25日の東京都など首都圏近郊の外出自粛要請などを受け、一時的な休業措置や営業時間変更など新たに踏み切った企業が相次いだ。
自社や関連会社などで従業員の感染が判明した企業は92社(前回比+45社)となり、100社規模に迫る。当初は小売やサービス、運輸などの業種で感染が続いたが、3月後半では製造や建設などでも従業員の感染が相次いで発覚した。
こうしたなか、防疫のためテレワークやオフピーク出勤、特別休暇制度の取得推奨など、働き方の変更を表明した企業は判明分で269社(前回比+96社)。当初サービス業などが中心だった在宅勤務の導入などが製造業にも広まったことで、新型コロナへの対応の中では直近2週間でもっとも増加した。出張・プライベート等における海外渡航禁止・自粛の対応を取る企業は112社(同+30社)だった。
拡大するテレワークやテレビ会議を支援するためのツール無償提供、臨時休校措置などに伴う児童への食事支援、ワクチン開発など、各種支援・サービスが判明した企業は90社(前回比+22社)。衛生用品の増産や販売など、需要拡大への対応が判明した企業は34社(同+7社)だった。また、新型コロナの影響で内定取り消しを受けた学生などを対象に、追加採用選考を行う内定取り消しへの支援は、判明分で25社に上る。