印刷から“BX”へ収益構造をシフト TOPPANの営業モデル変革
2023年10月、凸版印刷は「TOPPAN」へとリブランディングした。創業以来の社名を変更した背景について、小池氏は「印刷という既存の枠組みを“突破”し、社会の新たな価値を生み出し続ける企業へ変わる、大きな挑戦の象徴」と説明する。
TOPPANホールディングス株式会社 ビジネストランスフォーメーション事業部 パフォーマンスマーケティング本部 第三部 1T課長 小池 弘恭氏
TOPPAN入社以来マーケティング部門に所属し、クライアント企業へのマーケティングリサーチ支援、データ分析支援業務に従事した後、現部門にてプロジェクトマネージャーとして多くのオウンドメディア構築、BtoB企業へのデジタルマーケティング支援に携わる(所属は2025年3月時点)。
その流れの中で事業ポートフォリオの変革も図り、目指す姿として「Digital & Sustainable Transformation」(「DX」と「SX」)に注力。これらの成長事業を軸に収益構造をシフトすることで、社会課題を解決するリーディングカンパニーを目指しているという。

今回のセッションで紹介されたのは、ビジネストランスフォーメーション事業部のミッションでもある「受注型」から「需要創造型」へのビジネスモデル変革だ。
同事業部は顧客のマーケティングDX支援を行っており、顧客理解を深めるデータ基盤(CDP)やID統合管理サービスといった仕組みに加え、データドリブンで顧客体験(CX)を向上させてLTVを上げ、収益を高めていくところまでを基本的なサービスとして提供している。
加えて、DXとCXの両輪を回していくためには従業員体験(EX)の向上が欠かせないため、業務フローの改善も支援している。DX、CX、EXという“3つのX”を向上させることでBX(ビジネス変革)をもたらし、顧客の持続的成長を支援することで、継続的なビジネスにつなげているのだ。

2000年代の請求明細・DMの発送およびデータ分析を起点に、オウンドメディアの開発やMA・CRM導入支援、データ基盤構築およびBXと、ビジネスモデルを進化させてきたTOPPAN。しかし、その道のりは平坦なものではなかった。個別のソリューションを販売してきた「受注型ビジネス」から“3つのX”で企業のBXを支援するビジネスへシフトするにあたり、「案件の不足」と、「リードタイムの長期化による営業コスト増」という課題が生じたという。

顧客の利益最大化にコミットする「引き算と足し算」
小池氏は、営業モデル変革の全体像を「支援手法の定義×攻略先の定義=構造改革の手法」と表現した。「我々が実現すべきは、顧客の事業利益最大化にコミットすることです」と小池氏。「得意先の利益最大化実現に向けた取り組み」について、まず顧客のトップマネジメント層に対し、経営課題に対するオファリングアプローチを実施しているという。
「複数サービスを束ねる形で、顧客の利益最大化を実現する大型プロジェクトを共に創り上げていくのです。サービスは約500種類のソリューションで構成されますが、現在はそれらを精査し、オファリングに寄与するものに再構成しているところです。このような形で、支援手法と攻略先をかけ合わせながら、営業モデル変革を実施しています」(小池氏)

トップマネジメント層へのオファリングアプローチでは、事業構造を最適化するコスト削減・効率化を目的とした「引き算」を行い、そこで生まれたリソースを未来への投資に回していく「足し算」により、新たな収益の創出につなげる。
たとえば営業活動の場合、「業務のBPR」や「AI活用支援によるプロセスの合理化」などが引き算の支援に相当し、「営業DXによる販売機会の最大化」などが足し算の支援となる。

「我々は従来のサプライヤーという立場から、変革に必要な人材リソースと、成果向上に必要なデータ活用力の機能を提供する『サービス事業者』へと移行し、得意先の事業変革に伴走するパートナーになります」(小池氏)
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受注実績208%増 マーケと営業が伴走する「WEB創注活動」
ふたつめの「効率的な顧客接点の維持・新規窓口の開拓」では、営業コストをかけず効率的に販売活動を展開するため、ソリューションの棚卸・改革と並行し、デジタルチャネルを通じた販売活動強化の取り組みとして「WEB創注活動」を進めている。

「WEB創注活動」は、その名のとおりWEBを通じて引き合いをつくり、マーケティングと営業が連携して受注につなげる取り組みだ。当初はデジタルマーケティング部門の一部において、オウンドメディアと広告の展開、MA機能の導入、インサイドセールス(IS)の導入からスタートした。
この取り組みが戦略部門や営業組織に評価されてほかの部門にも波及し、CMSの導入、運営基盤の拡張、運営体制やナレッジの横展開と拡大。現在はTOPPAN全社への展開に至っている。
成果面でも、2021~2024年度の間でアクセス数実績が588%増、コンテンツ数が552%増、受注実績が208%増といずれも堅調に推移し、効率的な顧客接点の維持や、新規開拓への貢献につながる活動となっているという。

全社展開の拡大を進める一方で、とくにマーケティングDX事業では、デジマ施策と事業PR活動を連動させ、事業認知とターゲットリードの獲得を同時に推進している。そこで訴求する内容は「ソリューションではなく事業を売る」というもので、伴走しているお客様やTOPPANの強みである“人財”にフォーカスして設計されている。

また販売体制についても、2025年度からデジタルセールス機能が事業・営業部門の中に組み込まれ、マーケティングとセールスで共通の販売戦略を共有し、販売活動を事業拡大へコミットさせるための取り組みを強化している。営業ツールも、ISの商談の質を上げるために生成AIを活用し、仮説商談および提案の「型」化を推進中である。「質の高い商談に再現性を持たせることで、商談化率が15%アップするなど、営業プロセスの改善に貢献しています」と小池氏は成果を語る。
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TOPPANの自社実践知を還元 企業変革を伴走支援する3つの強み
自社のマーケティングDXと営業モデル改革の実践知を活かし、現在TOPPANは、顧客の営業変革を支援している。
小池氏は、「多くの企業では、リアルとデジタル双方の接点で複数の課題を抱えています。そこに対して、まずは営業活動を高度化・効率化することで事業コストを最適化し、浮いたリソースを未来への投資に回して商談機会を最大化することで、営業活動ROIの最適化を実現します」と説明する。

具体的な支援内容の一例として、「営業活動の高度化・効率化」では、商談資料のDB・RAG構築およびAIチャット活用による商談準備の効率化、優良商談スキルの共有、ターゲット自動抽出による商談の効率化などが挙げられる。

「商談機会の最大化」では、オウンドメディア構築による顧客接点の最大化、顧客データ一元管理のためのCDP構築などとなっている。

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最後に小池氏は、TOPPANがマーケティングDX・営業モデル変革の支援で提供できる価値を3点にまとめ、セッションを締めくくった。

「ひとつめは自社実践知の還元です。これまで社内の取り組みで実践したナレッジを生かし、伴走支援をさせていただきます。ふたつめがリアル×デジタルの融合です。印刷を祖業とする当社は、DMやイベント、店舗空間に至るリアルな接点と、オウンドメディアを含めたデジタル接点を融合する形でご支援できます。そして3つめは、圧倒的な実行力です。プランニングから実行、WEB開発やMA開発、AI開発、システム開発など、すべてを社内の人員で賄うことができます。これがTOPPANの強みです」(小池氏)
BtoB事業における営業活動の効率化・高度化、商談機会の最大化にお困りの方へ
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