未経験者がインサイドセールスに転職する際の選考対策とは?
未経験からインサイドセールスに転職するには、未経験をポジティブに捉えてアピールすることが欠かせない。どのような準備をしておけばよいのかを、採用選考のプロセス別に取り上げて紹介する。
採用選考前
応募書類の送付やエントリーシートへの入力の前から、未経験者は転職の準備を始めておいたほうがいい。業務経験がないという事実をほかのことで補う必要があるからだ。
- インサイドセールスの導入例や成功例を学ぶ
- 『HE MODEL』を熟読する
- 自分のスキルを整理する
- 転職に求める条件の優先順位付けをする
- 希望する転職先の業界や会社そのものを研究する
それぞれに詳しく見ていこう。まずは、インサイドセールスという仕事そのものについての知識や理解を深めておかなければならない。なぜインサイドセールスという仕事に就きたいのかを説明するには、相手が納得する理由が必要だからだ。
ネット上や書籍などにたくさんの事例が公開されているので、企業がインサイドセールスを導入する目的や期待する役割を理解しておこう。おすすめの書籍は『THE MODEL』だ。インサイドセールスを志すならば、読んでおこう。
その上で、自分のどのスキルや経験がインサイドセールスに役立つかという視点で振り返っておく。どうして自分はインサイドセールスに転職したいのかに加えて、給与や勤務条件など、この転職に何を求めているのかも併せて整理しておきたい。業界研究や企業研究はいわずもがなだ。
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書類選考
書類選考のゴールは、多数の応募者の中から自分に興味を持ってもらい、会って話してみたいと思ってもらうこと。忙しい採用担当者のために、応募書類では簡潔に自分をアピールするようにしたい。
- 自分の経験やスキルの中で何がインサイドセールスに役立つかをその理由を含めてまとめておく
- 経験やスキルのアピールにつながる具体的なエピソードを選び出す
- 応募書類の添削を受ける(必要なら)
応募フォームや応募書類には、文字数に上限がある。採用担当者にとって重要な情報(インサイドセールスに役立つ情報)を選び出し、要点をわかりやすくまとめておこう。現職までのスキルや経験とその結果(数字)という組み合わせがおすすめだ。また、選んだ理由も説明できるようにしておく必要がある。
自分が選び出したスキルや経験をアピールするための具体的なエピソードも用意しておかなければならない。インサイドセールスではKGIやKPIなどの指標を用いて業績を評価することが多い。これまでの自分の実績を、数字を用いて客観的に伝えることが重要だ。
また、必要であれば、志望動機や自己PRの添削を受けてもいいだろう。準備を万全にしておきたいならば、そういった選択肢もある。
面接
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面接のゴールは、ほかの候補者の中から自分を選んでもらい、一緒に働きたいと思ってもらうことだ。限られた面接時間の中で最大限アピールできるよう、当日を迎える準備を進めておきたい。
- 想定される質問の回答を準備しておく
- スラスラと言えるように練習しておく
- 自分の価値観や心構えといったマインドセットを確認されるため、偽りなく誠実に回答する
- 面接の指導を受ける
面接時間は限られているため、その中でどれだけアピールできるかが面接の勝負どころだ。未経験をポジティブに言い換えるなど、想定される質問の受け答えを準備しておこう。できれば、本番で口ごもってしまわないよう、実際に話す練習もしておくといい。
面接では、よくある質問に対して応募者が準備してきていることを面接官は承知している。そこで面接官は、応募者が大事にしている価値観や素が垣間見えるような、正解のない質問を投げかけることもある。そうした場合には、優等生になろうとせず、自分がこれだと思うことを率直に回答しよう。取り繕ったような回答は、面接官に伝わってしまっていることが多い。
書類選考のところでも触れたが、近年では面接の練習相手になったり指導したりというサービスを提供する事業者も珍しくない。必要であれば、利用するといいだろう。インサイドセールスの面接でよく聞かれる質問については、こちらにまとめてあるので参考にしてほしい。
内定後
採用選考を突破し晴れて内定を提示されたら、そこからもできる限り準備を進めよう。転職先への出勤開始までは引き継ぎや入社準備などで忙しいだろうが、時間を見つけるようにしたい。自分が未経験者だということを忘れず、謙虚に学ぶ姿勢を保とう。
- 転職先企業の研究を深める
- 引き続きインサイドセールスの事例を研究する
転職先の企業研究や業界研究は、自分のパフォーマンスを発揮するための土台となる。取り扱い商品やサービスについて、可能な限り知識を頭に入れておこう。それに加えて、インサイドセールスの成功例や失敗例、導入時の課題や解決策、導入後の効果といった導入事例もできる範囲で研究を重ねておきたいところだ。
未経験からインサイドセールスへの転職成功例
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ここでは、未経験からインサイドセールスへの転職に成功した例から学べることをまとめている。成功例の共通点やインサイドセールスの魅力、年収、将来性といった視点から、目指す職業を見ていこう。
異業種からの転職成功者の共通点
インサイドセールス未経験から転職に成功したケースには、共通点がある。実は、インサイドセールスには異業界や異職種からの転職組が少なくない。業界でいえば、メーカーや金融、不動産、ホテル、アパレル、ウェディングなどだ。職種の場合、外勤営業(フィールドセールス)や販売、接客、外交員、事務、コールセンターのスタッフなどが挙げられる。
異業種からの転職成功組に共通しているのは、意欲の高さ応募先の企業文化にマッチするかどうかといった適性だ。つまり、見られているのは応募者のポテンシャル。意欲では、熱意や応募までに費やした勉強量などの努力、費やした時間などが判断基準となる。
適性では、価値観や考え方などを確認されることが多い。仕事をする上で何を大切にしているかや、目の前の課題に対する思考力、分析力、判断力、コミュニケーション力、主体性など、どのように課題に取り組むかを具体的な事例を用いて質問してくると考えていいだろう。
未経験をネガティブに捉えず、ポジティブに解釈して自分をアピールするのが重要だ。これも転職成功例の共通点のひとつ。自分のそれまでの経験をしっかりと見つめ直して価値を認め、あくまでも挑戦する姿勢で臨んでみよう。「きっと無理だから」は自分の判断。採用可否の判断をするのは、あくまでも採用側だ。
インサイドセールスのやりがいや魅力
ここでは、未経験からインサイドセールスへの転職成功者が感じているやりがいや魅力を取り上げてみよう。
- 営業とマーケティングの仕事を客観的に理解し、橋渡しができる
- 売り上げに貢献しているという実感を得やすい
- コミュニケーション能力が高まり、それを私生活でも活用できる
- 自由度の高い働き方ができる
- 将来的なキャリアの可能性が広がる
インサイドセールスは、営業とマーケティングとをつなぐ重要な役割を担っている。そのことを理解した上で業務に臨み、客観的な立場から双方への改善提案ができるというやりがいのある仕事だ。マーケティングが創出したリードを選別、育成し、営業の成約率を高めるため、事務職などに比べると自分の仕事が会社の売り上げに貢献しているという実感を持ちやすい。
メールやチャット、電話といった非対面のコミュニケーション能力に磨きがかかることから、業務で得たスキルや能力を私生活でも活用できるという利点もある。
非対面での働き方が可能なため、リモートワークや在宅勤務といった自由度の高い働き方ができるのもインサイドセールスの魅力のひとつだ。勤務地や勤務時間に制約などがある場合には、働きやすく魅力的な仕事だともいえる。
それに加えて、将来的なキャリアが広がる可能性も高い。インサイドセールスの経験を活かして営業やマーケティングに転身するのはもちろんのこと、コミュニケーション能力を武器にカスタマーサクセス(カスタマーサポート・カスタマーサービス)や営業代行業などに進む道もある。
インサイドセールスの年収や将来性
求人ボックスによると、インサイドセールスの平均年収は491万円だ。500万円超と算出されている場合もある。全体的な平均年収と比べてみると、dodaの調査では414万円、国税庁が発表している給与所得者の平均年収でも458万円で、インサイドセールスの平均年収は全体の平均年収よりも高いことがわかる。
求人数も伸びていて、リクルートの調査では、2019年からの3年間でインサイドセールスを含む新しい営業職の求人数が2.62倍に増加したと報告された。新しい営業職には、ほかにフィールドセールスとカスタマーサクセスがあり、その中でもインサイドセールスの求人数は3.0倍へと増加している。
生産活動の中心となる15~64歳の生産年齢人口の減少やDX推進のような社会の動きもあり、インサイドセールスの求人ニーズは今後も高まる見込みだ。年収面でも需要面でも、当面の間、心配の必要はなさそうだ。将来性が注目されている仕事だといっていいだろう。なお、インサイドセールスの将来性については、こちらの記事で詳しく述べている。
未経験者にもチャンスがあるインサイドセールス
未経験からインサイドセールスへの転職は、決して不可能ではない。成功例は多数ある。未経験者だからこそ必要な準備があるものの、本記事で伝えたポイントを押さえた上でしっかりと準備を整えれば、十分に転職できるチャンスがある仕事だ。やりがいや将来性のあるインサイドセールスに向けて準備を開始しよう。