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大手企業への営業戦略と実践~持続的な事業成長に向けて~ 『エンタープライズセールス』出版記念イベント by SalesZine

2024年11月20日(水)15:00~17:10

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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富士通デジタルセールスの軌跡に学ぶ! 友廣氏×山下氏と考える、大手企業で営業改革を実現させるコツ

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CRMから「会社が生き残るための経営指標」が生まれる

山下 書籍からも徹底的にデータを活用されている印象をうけましたが、どのように推進してきたのでしょうか。

友廣 勘や経験に頼っていたらこれまでと変わりません。従来の営業との対比を見せるためにも、データを活用しなければなりませんでした。CRMの活用や、音声解析ツールによる対話比率・トピック分析や質問回数など、さまざまな角度からメンバーの行動1つひとつをデータ化して、メンバーのセルフディベロップメントやマネージャーによるコーチングを行っています。

山下 多くの企業でCRM/SFAの入力率が課題となりますが、デジタルセールスではいかがでしょう?

友廣 実は約12万人いる富士通の中で、デジタルセールスのログイン回数・使用時間がいちばん多いんです。130人しかいないのにですよ(笑)。データはすべてCRMに入力していますが、入力にはまだばらつきもあって、そこもイネーブルメントで是正して精度を高めています。営業ともCRMのデータに基づいて会話するので、我々が適当ではいけませんよね。

山下 ちなみに、営業とはアカウントプラン作成についても会話されるのでしょうか。

友廣 すべてではないですが、どこが新規で、どのサービスでどのくらい金額を目指すのか、アカウントプランを作成する段階から営業と会話しています。同時に、重要アカウントのアカウントプランを作成して営業へ提案するチームもデジタルセールス内にあるので、その両軸で取り組んでいます。

山下 副次的に営業のデータ入力率もあがるのではないかと思いますが……。

友廣 そこは壁があって、CRMを活用する意味やメリットを理解してもらうのはやはり難しいんです。ただ、そもそもデータは会社の資産です。さらに言うと、フォーキャストは会社が生き残るための経営指標ですから、その前提となるデータを入力しないのは本来あり得ないんです。しかし実際は、案件と顧客企業のキーパーソンが紐づいていないケースも多い。これでは、どの部署がどのくらいの金額の案件が発生したか、反対に失注しそうかといった分析ができません。

山下 会社全体のPDCAサイクルを回す起点として、経営層は日々の営業活動のリアルな情報が頼りです。CRMはどのチャネルからニーズが生じ、ロスト率が高いのか知るための構造的な基礎データなんですよね。それらを分析して中期経営計画や事業計画を達成しようとしていることが示されないと「なぜCRMのデータが必要なんだっけ」と思われてしまう。

友廣 そうした点も踏まえて、今後はデジタルセールスが培ったCRMのダッシュボード活用やイネーブルメントといったスキームを、営業にも展開しようとしています。

目標と熱意を持ち、「吹いても飛ばない」組織づくりを

山下 今後の展望も含めて、最後に友廣さんからひと言いただけますか。

友廣 デジタルセールス組織をつくる際、機能論でつくるか、営業部ごとや製品軸でつくるかで非常に迷いました。「The Model」を忠実に守るなら、インサイドセールスの機能とは、SDRでマーケティングとセールスの橋渡しをすることなのかもしれません。しかし、デジタルセールスはあくまで売上への貢献がゴールです。そのため営業を軸とし、自らデータを駆使してアプローチするBDRに特化しています。 まずは何を達成したいか。そのための組織づくりやKPI設計、イネーブルメントを進めていく。そうした組織を型ではなく、「熱意」でつくってもらいたいという思いを書籍に込めました。

 インサイドセールスは「営業の代替組織」と思われると、経営層のひとことでなくなる「吹けば飛ぶ組織」になってしまいます。そうではないと理解したうえで、吹いても飛ばない、飛んではいけない組織にしてほしい。デジタルセールスもあくまでひとつの部署に過ぎませんが、そのスキームと蓄積されたナレッジを営業や海外拠点に展開していくことで、会社全体に影響を与えるポテンシャルを持つ部署として取り組んでいきたいと思います。

山下 新たな挑戦の中でサクセスケースがうまれたら、ぜひまたお話をうかがえたらと思います。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

SalesZine編集部 高橋愛里(セールスジンヘンシュウブ タカハシアイリ)

1992年生まれ。新卒で総合情報サービス企業に入社し、求人広告の制作に携わる。2023年翔泳社入社。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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