営業の生産性が向上、若手の動きに変化も
──プロセスの変革とAI活用を合わせて、今どういった成果を実感されていますか。
金澤 これまで、とくに若手メンバーは初めての企業に新規提案を行うことに抵抗感がありました。今回のアプローチを導入したことで、物おじせずに提案を持っていくようになり、BP活動の動き方が変わってきた様子が目に見えます。
また、「AIが嘘をつくかもしれないから」と、自分で調べて確かめることでメンバー自身の学びにもつながっています。プロセスの型化とAIの組み合わせによって、案件ごとにかかる工数が下がって、数を回せるようになっていることも大きな効果ですね。
中山 BPの現場にヒアリングすると、体感では発掘できる商談の数は約6倍、それにかかる時間は半分になったと聞きます。BP活動の生産性が全体として向上している様子です。
──組織を強くするために、今後はどんな取り組みを検討していますか。
金澤 「BPも新しいテクノロジーに積極的に関わっていこう」という、メンバーのマインドづくりに注力していきたいですね。生成AIにかぎらず、今後も新しいツールが出てくると思います。富士通のBPとして、そういった新しいテクノロジーをうまく自分たちで使っていこうというマインドや文化を醸成したいと考えています。
中山 プロセスの型化を引き続き進めていきたいです。今、リードセールスのプロセスの型化ができてきましたが、その前のプロセスである「インサイドセールス」との接続も重要です。そのほかプロモーションなども含めて、マルチチャネルをつなげて考えていきたいと思っています。
また、生成AIをもっと活用したい一方で、生成AIでできることはBPスキルの中のほんの一部ではないかとも思うんです。業種業界に関する知識はAIがカバーしてくれますが、BPの肝は対人コミュニケーション。そのコミュニケーション力をどう高めることができるのかをひも解いていくことも、次の課題ですね。
淺間 BP領域で言うと、AI活用はまだ発展途上であり、利用率も100%ではありません。富士通では、かなり多くのサービスのキーテクノロジーとしてAIが組み込まれており、お客様にAIを提供する立場でもあります。
ですから、単にAIを使うだけでなく、自分事として語りお客様に紹介できる「AIネイティブなBP」を目指す必要があると思います。非常に難しいと思うのですが、社内IT部門の立場からも画期的な方法にチャレンジしていきたいです。
──最後に、これからAIを活用しようとしている営業リーダーにメッセージやアドバイスをお願いします。
金澤 やろうと思っているなら、すぐに動いたほうが良いです。僕がAIを使って楽そうに見せていると、周りのメンバーから「何をやっているんですか」と聞かれるんですよね。そこから組織に浸透していくと思いますから、まずはリーダーが手を動かしましょう。
中山 営業企画から「使ってみて」と言うだけでは、現場はどう使って良いかわからないですよね。そのため、プロセスを整理したり、ユースケースごとにプロンプトやツールを整理したアプリにしたりと、生成AIのとっつきにくさを取り払う準備をしてきました。こういった工夫も大切だと思います。
淺間 どんなテクノロジーを活用するにも、最初のハードルは高いんですよね。少しでも興味を持てる人は、メディアの記事などを覗いて情報を見てみてほしいと思います。勉強しなくて良いので、記事を読んだり、身近な詳しい人に聞いたりすれば、楽な心持ちで始められると思います。