不動産営業の経験者/家と幸せは直結している
――おふたりとも不動産の販売営業を経験されてきていらっしゃるのですね。まずはキャリアについて伺えますか?
西 1989年に伊藤忠ハウジングに入社しまして、大阪支店の法人営業部に配属されました。不動産仲介業を中心に担当し、その後大阪・東京でマーケティングの仕事に長く携わったあと、2008年からいまの経営企画部に所属しています。全社的な部分を見つつ、流通営業部というものを立ち上げ、中古マンション市場を担当しています。
伊藤忠ハウジングは今年で創業50年目です。伊藤忠グループが開発した新築マンションや戸建ての販売など、どちらかと言うと新築不動産をメインにやってきた会社です。バブルのころは仲介業もやっていたのですが、一度縮小し、現在あらためて強化していくということで経験者の立場で私が見ることになりました。
――マーケティング部ではどういうお仕事をされたのでしょうか。
西 我々は販売会社ですので、新築マンションを仕入れるときに必要な情報として「このエリアではいくらぐらいで売れるのか」という市場調査の業務を担当していました。
――次に針山さんのキャリアもお願いします。
針山 もともと学生のころから住宅が好きで、将来は不動産業界で働きたいと思っていました。新卒で不動産開発・仲介の両方を行っている企業へ入社し、仲介の営業からキャリアをスタートしました。仕事は非常に面白かったのですが、ものすごく忙しくて、ほかのやりかたがあるのではないかと思うようになり楽天へ転職しました。システム開発やウェブマーケティングについて勉強し、5年ほど前にハウスマートを創業しました。
――不動産仲介の営業から楽天へ。かなり違うことも多かったのではないでしょうか?
針山 そうですね。180度仕事の進めかたは違いました。不動産業界ではお客様とお会いするのでスーツをしっかり着て礼儀正しくが基本でしたが、楽天ではTシャツ・短パンで仕事をしている人も非常に多く、価値観の変化もありました。ただ、楽天はIT企業の中でも意外と体育会気質も強い会社ですので、けっこう肌に合っていた感じもしています。
――IT業界を経ても、不動産の領域で起業されたのには想いがあったのでしょうか。
針山 出自にも実は関係しています。父親が電車の設計士で、私が子どものころは父親が務めていた会社の社宅である団地で育ちました。小学3年生のころに両親が一念発起して中古の家を買ったんです。子どもながらに非常に嬉しくて「家と幸せは直結しているな」と思ったんですね。団地のころは家の中で飛び跳ねるとすごく怒られたのですが、引っ越してからはあまり怒られなかったことが心の中に残っております。
そういうわけで、中学生のころには「住まいに関する仕事」をやっていきたいと思うようになっていたので、楽天に転職したときも、また不動産業界に戻ってこようと思っていたんです。この先もずっと不動産領域で変わらず仕事をしていくつもりです。