「インバウンド商談」の価値が高まるワケ
調査データを見ると、インサイドセールスがひとりの顧客にアプローチする回数が年々増えている。2014年は7回だったのが、2022年では11回と1.5倍に増加。一方で、インサイドセールスが1日に顧客としっかり会話できるのは4件ほどだ。
買い手からすれば毎日多くの電話・メールが来る中で、1つひとつへのアテンションは下がっている。加えて、Googleなどのプラットフォーマーがスパムメール対策を強めているため、信頼度の低いメールドメインははじかれてしまう。「アウトバウンドの難易度がより上がってきている」のだ。
また、商談からの受注率で言えばアウトバウンドよりもインバウンドのほうが高い傾向にある。こうした現状を鑑みて、浜田氏は「顧客のアテンションが減って接続が難しくなっている中、顧客の興味をもとにした資料請求・お問い合わせからのインバウンド商談の価値は、今まで以上に高まっているのではないか」と考察した。
営業時間外の問い合わせの受注率が高い⁉
続いて、GMO医療予約技術研究所の事例が紹介された。同社は医療機関向けに、診察予約システムやWEB問診、キャッシュレス決済などの受付業務を効率化するシステムを提供している。
クリニック・病院を顧客とする営業では、MRに代表されるような訪問型が一般的だが、同社ではウェブリードからの商談率が過半数を超えている。また、2018年のGMOインターネットグループ参画時と比べて、ウェブリード数は5~6倍に増加。
同社執行役員の是友氏は、「2018年時点では開発者メンバーがメインの組織で、営業担当もほとんどいなかった。そのため純粋にインバウンド商談を増やす必要があった。また、顧客である開業医の年齢は40歳前後。学生時代にネットを使い始めた世代なので、自分で調べて問い合わせる顧客が増えてきたのではないか」と考察した。
リードの特性を分析すると、営業時間内・営業時間外の問い合わせが約1対1の割合で、想像以上に営業時間外のリードが多いことがわかった。その成約率まで見てみると、営業時間外のリードからのほうが営業時間内のリードより2ポイント以上高いことが明らかになったのだ。
「端的に言えば、営業時間外の商談数を増やせば、もっと成約数が上がります。予想ですが、忙しい診察の合間より、夜10時以降の集中できる時間帯の問い合わせのほうが、開業医の方がしっかりと情報を読み込んでくれているため、成約率が高いのではないでしょうか」(是友氏)
では、どのようにしてそのような商談獲得スタイルを実現しているのだろうか。