「背中を見せる」は限界! 育成にDXを導入すべき理由
「型」と「しくみ」は連動させる必要がある。その理由について、川上氏は2030年時点の労働者の増減を予測した内閣府資料をもとに「AIの普及やデジタル化の加速にともない、高付加価値、高額で売れる能力を身につけないと、営業パーソンとしての存在価値はなくなる」という予測を示した。そして、これからの時代も価値を発揮し、目標達成に貢献する営業パーソンを育成するために、営業の領域でも「DX」が必要になると言う。
ここで川上氏は、営業DXを「IT活用により新たな営業スタイルへ変革し、営業の品質と生産性を高め、業績向上や目標達成につなげること」だと定義したうえで、「『背中を見せて育てる』という旧来の育成手法が限界を迎えているのです」と指摘。人材の流動性が高く営業の即戦力化が求められている現在、デジタル活用により育成方針を明文化し、データ・事実に基づいて誰でも人材を育成できる体制が必要だと言う。
「ただし、人を育てるのはあくまで人です。デジタルツールをうまく活用し、DXに基づいた育成を行う必要があります」(川上氏)
また、DXに着手しないと、上司と部下(育てる側と育てられる側)のギャップが著しく広がっていくと指摘する。マネージャーは優秀な成績を出して昇進し、今も営業案件を抱えていることが多い。そのため時間がなく、もともとセンスや口伝により成果を上げてきたため、体系的な育成ノウハウもない。一方、部下はリモートワークが増えて上司と会う機会も少ない中、会社から早期戦力化を求められ、どうすれば良いか正解を早く知りたいと考えている。
「そのギャップを埋めて最速で人材を育成し、目標達成できる組織にするため、『型(明文化)』と『しくみ(データや事実)』が必要になってくるのです」(川上氏)