決めたプロセスが形骸化……「要件の具体性」が壁を突破する鍵に
ふたつめの「人材マネジメントの壁」とは、ISやマーケティングなど「社内に今まで存在しなかった職種」をマネジメントする際に立ちはだかってくる。壁ができてしまう原因としては、新しいスキル習得への対応やノウハウ不足が挙げられるという。
それらの問題を解決する際には、「外部からの人材採用」と「トレーニングの導入・実践」というふたつのポイントがあると水嶋氏は語る。
「マネジメント人材を採用する際には、業務プロセス設計や社内交渉のスキル、リーダーシップを重視します。トレーニングは社内のリソースでまかなうのは大変なので、外部のサービスを有効活用するべきでしょう」(水嶋氏)
続いて、3つめの「プロセス構築の壁」は、マーケティング、IS、FSが相互に協働していかなければならないときに、一旦決めたルールが形骸化したり、ルールが厳しすぎてうまく運用できなかったりする問題である。結果として顧客対応が疎かになり「機会損失」が発生してしまう。「この壁は、かなり大きな障壁です」と水嶋氏は言う。
その壁を解消するためには、リードを引き渡す条件・ルールを決める際に部門間のプロセスを属人化させないように、細かい要件の具体例をつくっていくことが重要だという。
「受注確度を上げるために活用するBANT(Budget:予算、Authority:決裁フロー、Needs:必要性、Timeframe:導入予定時期)のフレームワークに、お客様や商談の規模、お客様の“熱意”などを加味した具体的情報を加えて、組織内で合意したうえで運用していきます。それを繰り返していくことが大切です」(水嶋氏)
4つめの「評価指標の壁」は、リードを評価するにあたり、“量”の視点を重視することで生じる壁である。たとえばISが量を求めて何度も相手に電話し、強引に商談を設定して、FSに質の悪いリードを渡してしまう。顧客に悪い印象を与えるため「失注どころか評判も落としてしまうことになりかねない」(水嶋氏)という大きなリスクを孕んでいる。
そのリスクを回避するためには、最初に設定したKPIをアジャイル型で何度も繰り返して決め直していくことが有効だ。
「実のところ、評価指標に正解はありません。そこで設計→実施→評価→改善というサイクルをアジャイル型で細かく回していくことで適切なKPIを模索し続け、評価指標を形骸化させず、ネガティブな作用を引き起こさないようにします」(水嶋氏)