“しゃべりすぎて売れない”から脱却しよう
「しゃべりすぎて売れない」という営業スタッフがいる。人当たりも良く、トークもうまいが結果が出ない。あなたの近くにもひとりやふたりはいるだろう。
先日、ショッピングモールに行ったときのこと。スマホショップで商品を見ていると、若い男性店員が近づいてきてこう説明してきた。
「こちらはハイエンドスマホです。高リフレッシュレートで有機ELなんです。それに……」
聞いたことがない言葉ばかりでピンとこない。丁寧に細かく説明してくれたものの、どの説明も興味を持てなかった。これでは購買意欲はそそられない。話がひと段落したところで「またにしますね」とその場を去った。
お客様が理解できないトークをすれば、購買意欲のあるお客様すら逃がしてしまう。これは非常にもったいないこと。トップ営業スタッフは説明するのではなくお客様に語らせる。その際、主にふたつのテクニックを駆使しているのだ。
ひとつめのテクニックは“自己説得効果”である。自己説得効果とは、人から何か言われるより、自分で自分を説得したときにいちばん納得できるということ。営業で言えば、お客様に的確に質問することで、お客様自身に商品のメリットを話させるということだ。
多くのお客様は営業スタッフから「この部分が優れていまして……」と言われても納得しない。営業スタッフのトークが巧みであればあるほど「説得されてたまるか」と頑なに拒絶する。
そこでトップ営業スタッフは目の前のお客様に対して次のような質問をする。
「○○について、何かご存知でしょうか?」
「どうして検討しようと思ったのですか?」
人は質問されると、何か回答しようと思うもの。しかも、このような質問をされたお客様は「ああ、この商品ね。結構良いイメージはありますよ」とプラスの面を答えるケースが多い。お客様は自分で言ったことは否定しないため、お客様自身が勝手に自己説得していく。こうなると良い方向に展開していくものだ。
もし、先ほどのスマホショップの店員さんが「最新型のスマホについてどう思われますか?」と質問してきていたらどうだろう。「最近のスマホはデザインも良く、動きも早くて良いですね」と返したに違いない。こうなれば購買に向かう可能性は極めて高くなる。
この自己説得のテクニックを使うだけでも上位グループに入ることができる。さらにトップを目指したいなら「お客様の要望をとことんまで深く聞きとる」ことが必要になる。ここでふたつめのテクニック、“疑惑の導入”が必要になってくる。