前年割れ、営業の3割が退職 データドリブンな組織改革へ
今回は、私が営業マネジメントをしていた時代に、データドリブンに取り組んだ「営業の組織変革」についてご紹介します。
当時ウイングアーク1stの営業組織は、二期連続で営業目標未達成かつ、売上は「前年割れ」の状態でした。私は事業推進部門の責任者として、事業戦略の立案やアライアンス業務を担当していましたが、営業組織の業績回復を命じられ営業組織へ転籍することになったのです。
まず、はじめに私が実施したのは営業組織の状態を把握すること。営業メンバーと1on1を実施し、1人ひとりと会話しました。現在感じていること、活動している内容、なぜ業績が悪いのか──。業績が悪化するなか営業人員の3割が退職し、人員補充もできていなかったため、将来に不安を持ち、疲労困憊している組織の状態がよくわかりました。
次に、販売データや投資計画、SFA/CRMなどのデータを確認したところ、報告はメールによる日報や週報、ExcelやPowerPointで行われており、SFA/CRMに必要なデータが蓄積されていませんでした。そのうえ進捗管理のExcel表には記載があったりなかったり……。マネジメントは進捗報告を促すためにメンバーに喝を入れる。施策自体の戦略や意図が不明確にも関わらず、大量の営業工数が投下されている状態でした。つまり、営業における「投資計画」はないに等しく、PDCAがまったく回っていなかったわけです。
そこで営業投資の大半を占めており、人的資本の中核である「営業の活動時間分析」を行いました。結果は次のとおりです。
純粋な営業活動時間である商談時間は34%で、残りの66%は営業成果に直接つながらない業務が占めていました。
次に営業組織の報告についてですが、ほとんどの営業がSFAに活動情報を登録していない状態でした。週次の案件報告には対応中の案件名が記載されていますが、進捗に関する情報がないため、フォローをしているか、していないのかもわかりません。
また経営管理部門がSFAに登録された商談金額をダッシュボード上でモニタリングしていたため、Excelで数値報告した内容を基にSFAに登録する作業が行われていました。
これらの作業はマネジメントに事実が伝わらないだけでなく、データを二重登録するという非効率な業務を生み出しています。
このように「マネジメントを行うために必要な情報=営業の進捗状況や活動状況」の把握ができておらず、投資している営業活動時間に対して、成果が得られていない状態が続いていたのです。