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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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営業の仕事は「売る」ことなのか? 「Buyer Enablment」をめぐる冒険

2024年7月12日(金)13:00~18:20

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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SalesZine Day 2023 Winter(AD)

「質問力」が上がれば受注率は上がる! ソフトブレーンが解説する「TOPセールスが使う質問力の極意」

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 新規開拓目標の2.2倍という素晴らしい数字を達成した営業は、どのような「質問力」をもってして案件化率と受注率を引き上げてきたのか。2023年1月26日に開催されたSalesZine Day 2023 Winterでは、「共創のリーダーとなる営業組織づくり」をテーマとし、「企業間共創のリーダー」としての営業のあり方が多様なセッションを通して紹介された。本稿では、営業改革支援を行うソフトブレーンが営業の研究により導き出した「TOPセールスが使う質問力の極意」を紹介する。

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営業に必要な質問力は「準備」が命

 ソフトブレーンは、CRMやSFAといった営業支援システムの導入や専門コンサルティングを通じて、7,500社もの営業改革を支援してきた。「営業を科学する」というテーマを掲げ、大学の研究機関と連携をして「営業の研究」も行っている。そこで生まれたメソッドを活用し、顧客の営業スキルアップを支援しているという。

ソフトブレーン株式会社 営業企画部 部長 川上大樹氏

 今回紹介された営業のメソッドは「質問力」だ。「質問がうまくできれば誰でも営業成果を出すことができる」と川上氏。質問をすると、“勝つために解消するべきボトルネック”が明らかになるからだ。

「決裁者は誰か。提示した費用は予算内に収まっているか。これらは質問しなければ明らかにできません。逆に言えば、ボトルネックが明らかになると、それに対処していけば良いというシンプルな話です」(川上氏)

 前提として押さえておくべきは、TOPセールスが備えている質問力は勘や経験ではなく「準備」に裏打ちされているということである。ソフトブレーンが『一橋ビジネスレビュー』に寄稿した論文では、TOPセールスがもっとも意識しているのは「市場理解」「戦略理解」であることが明らかになっている。つまり事前準備だ。

 なぜ事前準備が重要なのか。カタログセールスや御用聞きで売れていた一昔前の営業は商品のプレゼンとクロージングができれば問題なかった。一方、今の時代の営業においては、ヒアリングがとくに重要と言われる。顧客の真意やニーズを引き出さないと提案もできないのだ。顧客に真意を話してもらうには、それだけのセールスパーソンだという「信頼」を得る必要がある。ここで、事前準備が鍵となる。

 たとえば、客先でいきなり課題や目標を聞くのではなく「御社の中期経営計画を確認させていただきました。3年間で○○%成長を目指していらっしゃるんですね。法令改正時には、このようにガバナンスを効かせていく必要がありますよね」と伝えると、相手は「よくわかってくれているな」と感じるだろう。こうした信頼を獲得するためのアプローチは、中期経営計画や法令という話題を事前に準備しておくからこそできる。

 商談を決める重要なファクターとなる質問力だが、その手前で信頼を得るための「準備」が非常に大事だということだ。川上氏は「会社ごとに核となる事前準備のやりかたがあると思うので、それをマニュアル化することから始めるのがおすすめ」だと推奨した。

案件化率を上げる質問とは ポイントは「3つのR」

 続いて具体的な質問力の極意について説明した。川上氏は、顧客をその気にさせるというフェーズ、「案件化率」を上げるための質問について、次の「3つのR」をポイントとして挙げた。受注率を上げる前に、そもそも提案をできる状況をつくるために必要なステップだ。

  1. ライトパーソンの特定(検討に際しての起案者/決裁者)
  2. ライトタイミングストーリー(予算時期以外でも「今」)
  3. ライトコンテンツ(自社の業務/課題/ゴールに沿ったもの)

 ひとつめは「ライトパーソンの特定」だ。どんなに良い提案や商材であってもそれを訴求する相手が適切でなければ意味がない。営業パーソンが陥りがちなケースが、決裁者や検討部門を聞かずに目の前の担当者に一生懸命説明してしまうことだ。とはいえ、「キーマンはどなたですか?」とは聞きにくい。そんなときは「if」を活用すると良いという。断定はせず「本件のご検討に際して、できればこの方のご意見を聞いておいたほうが良いという方はどなたでしょうか」とさりげなくうかがって特定する。

「これで中核のキーマンまではいかなくとも、その周りのサブキーマンくらいは特定できるでしょう。この質問をして返事がなかったとしたら、対面の方がキーマンを知らない可能性もありますし、もしかしたら信頼関係が成り立っていないのかもしれません」(川上氏)

 このメソッドは、ソフトブレーンが2,000名以上のTOPセールスマンにインタビューしその行動を分解して確立したもののひとつだ。「if」を使った質問はあらゆる場面で活用できるので、覚えておくと良いという。

 ふたつめのポイントは「ライトタイミングストーリー」。良い提案も、タイミングが合わなければ「今はいいです」と断られてしまう。3月決算であれば1~2月の予算時期に再度提案する場合が多いだろう。

 川上氏は「この『今』を無理やり捻じ曲げて売る必要はないが、『検討のタイミングにまた来ます』と言ってそれまで何もしないのはダメなパターン」だと指摘する。

 ここでのポイントは「逆算」だ。予算時期からしばらく期間が空いたとしても、今からの検討がちょうど良いというイメージを持ってもらうため、相手に「ゴール」をたずねて時期を設定する。

 先述の「if」を使い「たとえば本件を始めるなら、いつごろからやってみたいなというイメージはありますか?」と聞いてみて「来年の4月」と返ってきたとする。この最終ゴールを顧客に設定してもらうのが重要で、ここから逆算していく。「だいたい導入に3ヵ月ぐらいかかるので、4月スタートに向けては12月ごろにご契約いただくのがベストです。となると業者の選定を11月中に終えるために、コンペは10月中がよろしいのではないでしょうか。このコンペを開始するためには……」といった具合だ。できる営業は無意識のうちにこの「逆算の促し」を行っているという。

 3つめのポイントは「ライトコンテンツ」だ。適切な相手に適切なタイミングで営業できたとしても、そこで機能中心の営業をしてしまっては意味がない。先述のとおり、今の時代の営業はお客様のニーズを明らかにし、刺さる提案をすることが重要である。

 TOPセールスマンはこれをうまく実践しており、潜在課題をさりげなく顕在化できる。そしてこれを組織全体でできるようにするには、TOPセールスマンの知見を借りることだ。TOPセールスマンが顧客によく投げかけている質問を、「よくある課題」として箇条書きにして顧客に提示し「この中で何か当てはまりそうなものありますか」とたずねるところから始めると良いだろう。これによって、顧客に刺さる提案がしやすくなる。

 この「3つのR」を経て、顧客が「今この課題を解決するために、提案してもらったほうが良い」と感じれば、案件化の状態に至るわけだ。

受注率を上げるための質問に必要な「CPD」

 案件化したらもちろん受注を目指す。川上氏は、受注率を引き上げるためには「CPD」を引き出す質問が重要だと説明した。

  1. Competitor(コンペティター):どの競合と最終比較されるか?
  2. Point(ポイント):その競合と比較する際の評価のポイントは何か?
  3. Decision maker(ディシジョンメーカー):最終的な決定者や決定プロセスは?

 優秀なセールスパーソンは、無事ニーズをとらえたうえで、提案の翌日から3日以内にこのCPDをキャッチアップしているという。ひとつずつ見ていこう。

 ひとつめの「コンペティター」。コンペで提案を終えた後も結果を待つだけではなく、勝ちを引き寄せるため、補足したり顧客の不安を解消したりと動くのが重要だ。そのためにどの競合と比較されるのかを押さえておきたい。

 ここでの質問のポイントは「ハードルの引き下げ」だ。先方も「A社が良い」と確定めいたことは言えないはずである。よって「○○様の個人的な感覚で結構なのですが、どこが本命、対抗の2社になりそうでしょうか?」といったかたちで、「個人的な」というキーワードを入れ、ハードルを下げて質問すると良い。このように聞くことで、会社としての正式な回答がない中でも戦況把握が可能になるわけだ。

 ふたつめの「評価ポイント」。プレゼンが終わってすぐに1社に絞られることはまれだろう。たとえばA社の評価が15点、B社が12点だったとして、本当にA社にしてよいのか、もう少し不明点を明らかにしてから決めたいという会社も多い。

 そこで的確なフォローをするために、評価ポイントを引き出す質問をしたい。ここでも「個人的な感想で結構です」とハードルを下げることが重要だ。さらに、「どちらの提案内容が良かったですか」とは聞きにくいが、「どちらにも良し悪しがあったかと思いますが、いかがでしたか」と聞くと、さりげなく両社の良かった点・懸念点が引き出せる。それに対して「コストに関しては御社のほうがちょっと高かった」と返ってきたとすれば、「なるほど、コスト面ではA社が少し安かったんですね。ちなみにいくらぐらいでしたか」と深掘りしていくことができる。これが「評価ポイント」を明確にするうえで重要な引き出し方となってくる。

 続いて3つめの「ディシジョンメーカー」。最終的に多数決で決める合議制の場合もあるが、役員や社長などの決定権者がいる場合も多い。また、経営会議や取締役会で決めるといった決定プロセスも存在する。

 そのため、「誰がどのタイミングで」決定するのかを押さえておき、最終局面まで気を抜かずにフォローする必要がある。「今回のプレゼンを踏まえて今後どのような検討の進め方をされますか」「そのタイミングまでに我々ができそうなことはありますか」とたずね、積極的に手を打っていく。最後に「誰がどのタイミングで」決めるのかを押さえておかなければ、競合に差をつけるためのフォローアップができない。そのため、ディシジョンメーカーを特定するための質問が非常に重要なわけだ。

ITを組み合わせて組織成果へ

 ここまで、案件化率・受注率を引き上げていくための質問力について解説した。実際にこの質問力を組織の成果につなげるためには体系的な取り組みも必要だ。今回紹介した質問内容をマニュアル化して指導し、セールスパーソンの行動が変化することで成果が出てくる。とはいえ、マニュアル化や指導にリソースを十分に割けないケースも多い。

 そこで川上氏は「マニュアル化して質問力の育成をしながら、CRM/SFAといったITを活用することで生産性を上げ検証・分析をしていく。これらを組み合わせると万全の体制になると思います」と説明し、ITツールを組み合わせたサイクルを提案した。

 最後に川上氏は、「ソフトブレーンは、質問力の育成とITによる仕組みづくりの両側面をお手伝いしており、その事例もお届けしています。ご興味があればぜひお問い合わせください」とセッションを締めた。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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