営業に必要な質問力は「準備」が命
ソフトブレーンは、CRMやSFAといった営業支援システムの導入や専門コンサルティングを通じて、7,500社もの営業改革を支援してきた。「営業を科学する」というテーマを掲げ、大学の研究機関と連携をして「営業の研究」も行っている。そこで生まれたメソッドを活用し、顧客の営業スキルアップを支援しているという。
今回紹介された営業のメソッドは「質問力」だ。「質問がうまくできれば誰でも営業成果を出すことができる」と川上氏。質問をすると、“勝つために解消するべきボトルネック”が明らかになるからだ。
「決裁者は誰か。提示した費用は予算内に収まっているか。これらは質問しなければ明らかにできません。逆に言えば、ボトルネックが明らかになると、それに対処していけば良いというシンプルな話です」(川上氏)
前提として押さえておくべきは、TOPセールスが備えている質問力は勘や経験ではなく「準備」に裏打ちされているということである。ソフトブレーンが『一橋ビジネスレビュー』に寄稿した論文では、TOPセールスがもっとも意識しているのは「市場理解」「戦略理解」であることが明らかになっている。つまり事前準備だ。
なぜ事前準備が重要なのか。カタログセールスや御用聞きで売れていた一昔前の営業は商品のプレゼンとクロージングができれば問題なかった。一方、今の時代の営業においては、ヒアリングがとくに重要と言われる。顧客の真意やニーズを引き出さないと提案もできないのだ。顧客に真意を話してもらうには、それだけのセールスパーソンだという「信頼」を得る必要がある。ここで、事前準備が鍵となる。
たとえば、客先でいきなり課題や目標を聞くのではなく「御社の中期経営計画を確認させていただきました。3年間で○○%成長を目指していらっしゃるんですね。法令改正時には、このようにガバナンスを効かせていく必要がありますよね」と伝えると、相手は「よくわかってくれているな」と感じるだろう。こうした信頼を獲得するためのアプローチは、中期経営計画や法令という話題を事前に準備しておくからこそできる。
商談を決める重要なファクターとなる質問力だが、その手前で信頼を得るための「準備」が非常に大事だということだ。川上氏は「会社ごとに核となる事前準備のやりかたがあると思うので、それをマニュアル化することから始めるのがおすすめ」だと推奨した。