トップ営業スタッフ特有の「聞き込みの深さ」
以前「営業スタッフの実際の商談の様子を見てアドバイスして欲しい」という依頼があった。ロープレの商談を見ることはあってもリアルな商談の様子を見る機会はあまりない。これはチャンスだし、勉強になる。喜んで引き受けさせていただいた。
後日、録画された動画が10本ほど送られてきた。さっそくすべての動画を見ることに。営業スタッフそれぞれに個性があるものの、説明やトークの内容にはそれほど差があるとは思えなかった。要点が押さえられており、「しっかりトレーニングされている」という印象を受けた。
ただ感想だけを先方に報告するわけにはいかない。しばらく時間をおいてから、もう一周見ることにした。そこで気がついたのは、トップ営業スタッフと並みの営業スタッフでは説明内容が似ていても、「聞き込みの深さが違う」ということ。トップ営業スタッフは一段階も二段階も踏み込み、深い部分まで要望をヒアリングしている。いわゆる“ディープヒアリング”がしっかりできているのだ。
ヒアリングの深さと成績は正比例している。しっかり深い部分まで踏み込み、動機まで聞き取れるか、それとも表面上の情報を得るだけで終わるのかでその後の提案の質と精度は驚くほど変わる。これがトップ営業スタッフになるか、それとも並みの営業スタッフで終わるかの分かれ道になると言っても過言ではない。
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