管理職・育成担当者が見落としてはいけない3つのポイント
また、「これは、できるようになって当然」というメッセージを与えながら研修を行ってしまうと、誰かに相談することのハードルが上がってしまうことに加えて、誰しもが「この企業で自分はやっていけないかもしれない」と大きな不安を感じかねません。
決して「高い目標を与えてはいけない」のではなく、着目するべきは「目標の見せ方」です。「最終的にはこの業務をできるようになってほしい」などと目標は伝えることは問題ないのですが、目標を提示するうえでは「最初の1ヵ月では〇〇までできるようになってほしい」「その次の1ヵ月では△△もできるようになってほしい」というように、段階を踏んだ目標設定を相手に伝えていくことが重要です。
ニットでは「新メンバーは入社後2ヵ月までに独力で業務を獲得し、40時間以上自律的に働くことができている」状態を「オンボーディング」と定義したうえで、新メンバーが業務の軌道に乗ることができるようにフェーズ単位でサポートしています。
また、冒頭でも申し上げたとおり、リモートでは対面以上に情報をキャッチすることが難しいため、メンバーの習熟度に応じて、理解度を確認しながら、コミュニケーションの内容・頻度を変える必要があります。たとえば、管理職が新卒社員と中途入社社員に期待するスキルや姿勢は次のように異なります。
◆新卒社員
社会人のイロハなど含め、何も知らないことを前提としている。業務だけではなく、そもそも「会社で働くということは何か」を身につけてほしい。
◆中途入社社員
新卒社員とは異なり、社会人経験があるという前提で接する。それにプラスして、本人の強みを活かしてほしい。
これらを踏まえたうえで、どの社内メンバーを教育担当者として依頼するのかも重要なポイントです。オンボーディングを目指すうえでは、育成担当者もフェーズごとの目標を理解する必要があります。経験値だけでなく、パーソナリティ面も新人育成に影響するため、慎重に選びましょう。育成担当者を選出する際のポイントは次のとおりです。
◆新卒社員
手取り足取り教えることが苦にならない、いわゆる「面倒見がいい人」。
◆中途入社社員
強みを活かせるように、現場の配属部署の中で何でも質問できるような人。
ポイント2:管理職・育成担当者が持つべき3つの心構えを知る
テレワーク下で新メンバーを迎え入れるうえで、管理職・育成担当が持つべき心構えは3つあります。とくに育成期間中の新メンバーにおいては、こうしたスタンスがメンバー間に共有されていない会社は馴染みにくく、疎外感を感じかねません。
- 「オンラインでなんでもできる」と思い込む
- 「仕事をしている」という性善説を持つ
- メンバーを褒めて、信頼関係を構築する
1. 「オンラインでなんでもできる」と思い込む
「対面で会ったことはないけれど、オンラインだけで信頼関係を構築することは可能なのか」と相談されることがあります。面接から入社後の育成、事業運営までのすべてをオンラインで完結する当社の持論としては、こうした不安が生じてしまうのは、「リアルでマネジメントしていたときと比べてしまっているから」。
私も入社して2ヵ月の間は中南米のベリーズという国に住んでいたため、遠隔からのスタートでした。もちろん、最初は不安でしたが、実際に始まってしまうと想像以上に業務への支障がなく、当初の不安が払しょくされたことを覚えています。そもそも、ふたを開ければ「テレワーク下でも問題なく仕事ができるのか」疑心暗鬼になっているのはマネージャー(管理職)だけ、というケースも少なくないように思います。