なぜウェブと営業は一体になる必要があるのか
簡単に自己紹介をさせていただきます。私は、主にBtoBのウェブマーケティング支援を中心に活動をしてきました。ウェブマーケティングの中でも特にリード獲得・商談獲得・売上アップといった数字に直結する部分で成果を出してきました。成果を上げるための考え方や方法論を書籍や連載を中心に展開し、現在5冊の著書があります。
今回SalesZineのスタートに伴い"営業"を主題に連載を書かせていただくにあたって、特に思い入れがあるのが1冊目の『ウェブ営業力』(翔泳社)という書籍です。刊行された2009年当時、ウェブマーケティングによって実現できることの領域が格段に広がり、計画的にウェブサイトやメールから成果を上げていこうという機運が高まっていました。実際に成功事例が高い確率でではじめたころです。
当時、担当していたある案件でウェブサイトからの商談獲得が前後比8倍に近くなったケースがありました。しかし、問い合わせは圧倒的に増えたにも関わらず、3か月経っても売上にまったく寄与していなかったという苦い経験をしました。商談自体の質は決して低いわけではなく、上層部の方が商談内容を確認し、見込みが高そうなものがあることも確認できていました。
担当者の方々といろいろと調査をしていくと、「ウェブからの問い合わせを適切にフォローしていない」「紹介や電話の案件を重視し、ウェブ問い合わせは後回しにしている」「ウェブ問い合わせは細かいヒアリングができていないので、とりあえずメールで済ませる」など、もし真剣に顧客が問い合わせをしていたとしたら期待を裏切ってしまっているような営業活動をしていることが分かりました。
そこで痛感したことは、ウェブサイトから単に商談をたくさん獲得すればよいのではないということです。営業が活用しやすい商談・情報を生み出し、営業の最終成果である売上やLTV(ライフ・タイム・バリュー)に寄与しなければせっかくのウェブマーケティングも意味がないということです。
つまりウェブマーケティングのゴールは、単なるウェブサイトからの成果ではなく、ウェブと営業がひとつながりとなり一体となって最終成果である売上やLTVを上げることが重要であるということです。そういった仕組みをつくるべきだ、との思いから書籍名を「ウェブ」と「営業」をくっつけた『ウェブ営業力』にしました。
それから10年、ウェブマーケティングと営業の懸け橋になる活動をこころがけてさまざまなプロジェクトを推進してきました。そういった観点から経験してきた、ウェブと営業が手を取り合ってうまくいくコツや、ウェブマーケティングが営業(営業組織や営業戦略)に与えるインパクトを考察した情報をみなさまにお届けできればと思います。