シェイクは、300名以上の規模の会社の正社員かつ管理職(課長~部長クラス)の35~60歳を対象に、「管理職の期待・実態・課題」に関する意識調査を実施した。
課長職(相当)のアンケート結果

まず、「課長職(相当)」に「現在、会社からどのような役割を期待されていると感じるか」について質問したところ、次のような回答結果となった。
- 部下のキャリア・将来を見据えて、必要な指導・育成をする(63.7%)
- 部下に必要な業務指示・指導を行い、その進捗状況を管理する(50.2%)
- 部下のモチベーションを維持させ、職場によい雰囲気をつくる(48.5%)
続いて、「今後も、管理職として力を入れて取り組みたいこと」について質問したところ、次のような回答結果となった。
- 部下のキャリア・将来を見据えて、必要な指導・育成をする(49.7%)
- 部下のモチベーションを維持させ、職場によい雰囲気をつくる(38.1%)
- 部下に必要な業務指示・指導を行い、その進捗状況を管理する(33.2%)
「課長職(相当)」は、会社から「部下の指導・育成」「業務指示・進捗管理」「モチベーションの維持」といった役割を強く求められていると感じていることがわかった。とくに「部下の指導・育成」は、自身が力を入れたいこととしても高い割合を示しており、期待と意欲が一致している様子がうかがえる。
一方で、「業務指示・進捗管理」は期待値が高い一方、課長自身が取り組みたいこととしての優先度はやや低くなっている。また「プレイヤーとして成果を出す」に関しても同様の傾向が見られる。
部長職(相当)のアンケート結果

続いて、「部長職(相当)」に「現在、会社からどのような役割を期待されていると感じるか」について質問したところ、次のような回答結果となった。
- 部下のキャリア・将来を見据えて、必要な指導・育成をする(70.9%)
- 部下に必要な業務指示・指導を行い、その進捗状況を管理する(57.5%)
- 部下のモチベーションを維持させ、職場によい雰囲気をつくる(56.9%)
次に、「今後も、管理職として力を入れて取り組みたいこと」について質問したところ、次のような回答結果となった。
- 部下のキャリア・将来を見据えて、必要な指導・育成をする(48.9%)
- 部下のモチベーションを維持させ、職場によい雰囲気をつくる(38.7%)
- 部下に必要な業務指示・指導を行い、その進捗状況を管理する(31.3%)
「部長職(相当)」も、「部下の指導・育成」「業務指示・進捗管理」「モチベーションの維持」を会社から強く期待されていると感じており、その割合は「課長職」よりも高く、責任の重さを実感している様子がうかがえる。
力を入れて取り組みたいことについても、課長職と傾向が似ており、現場マネジメントや人材育成が管理職としてのやりがいにつながっていると考えられる。
また、「新たな事業や仕組みの企画・立案」は、部長職のほうがより期待されていることがわかる。
課長~部長クラスの将来的なキャリアに対する希望、「会社やチームの変化・成長の先頭に立ちたい」が上位に

調査対象者の管理職全員に、将来的なキャリアに対する希望について「今後のキャリアを考えたときに、どのような立場で組織に関わりたいか」と質問したところ、次のような回答結果となった。
- 経営層として、会社の変化・成長の先頭に立ちたい(13.7%)
- 部長(チーフマネージャー)として、会社の変化・成長の先頭に立ちたい(32.2%)
- 課長(チームリーダー)やマネージャーとして、自チームの変化・成長の先頭に立ちたい(26.2%)
- 変化・成長ではなく、現在の役職で会社の現状を維持させたい(7.1%)
- 特に今後については考えていない(20.8%)
一方、管理職が「手放したい」と感じている業務や役割があるか質問したところ、次のような結果となった。

手放したい業務1位は「部下のメンタルケアや相談への対応(24.7%)」となり、続いて「手放したいものはない(22.9%)」「部下のキャリア面談(22.9%)」が上位にあがった。「部下のメンタルケアや相談対応」「キャリア面談」に負担を感じる管理職が比較的多いことがわかる。
7割以上の管理職が「シェアド・リーダーシップ型組織」に魅力を感じている

管理職のこうした業務負担を減らすための方向性のひとつとして、ひとりのリーダーがリーダーシップを発揮して組織を率いるのではなく、メンバー全員が必要に応じて必要なリーダーシップを発揮するチームや職場の状態を示す「シェアド・リーダーシップ型組織」が注目されつつある。
調査対象者の管理職全員に「シェアド・リーダーシップ型組織についてどう感じるか」と質問したところ、7割以上の人が「とても魅力的だと思う(21.4%)」「やや魅力的だと思う(54%)」と回答した。
一方、「シェアド・リーダーシップ型組織の懸念点」について質問したところ、「統制や管理がしづらい(38.2%)」「責任の所在が不明確になる(34.7%)」「意見がまとまらず、意思決定が遅くなる(30.2%)」が上位にあがった。「統制」「責任」「意思決定」といった管理職に不可欠な要素において、明確な枠組みがないことに不安を抱いているようである。
リーダーシップスタイルは、「メンバーの自主性や裁量」を重視する傾向に

現在の「組織のリーダーシップスタイル」について質問したところ、次のような回答結果となった。
- 上司が意思決定・指示を行い、メンバーが指示に従う(13.8%)
- 上司が意思決定し、確認のもとメンバーは一部裁量を持つ(35.5%)
- 上司は方向性を示し、役割分担のもとメンバーが主体的に行う(30.8%)
- 上司やリーダーは最終責任を負い、メンバー同士で相談・意思決定をする(10.8%)
- 役職に関係なくメンバー全員が意思決定に関与し、状況に応じてそれぞれがリーダーを担う(9.1%)
この結果から、「メンバーの自主性や裁量」を重視する傾向が見られた。
さらに、「あなたの部下はリーダーシップを発揮できているか」と質問したところ、約半数が「発揮できている(9.2%)」「まあまあ発揮できている(42.9%)」と回答しており、管理職の約半数は「部下がリーダーシップを発揮できている」と思っていることが示された。
最後に、「若手・中堅社員がリーダーシップを発揮できるようにするために意識していること」について質問したところ、次のような回答結果となった。

【課長職(相当)】
- 自信をつけられるような成功体験をさせる(37.1%)
- 権限委譲し、仕事を任せる(35.2%)
- 失敗を許容し、挑戦を促す(29.0%)
【部長職(相当)】
- 権限委譲し、仕事を任せる(41.9%)
- 自信をつけられるような成功体験をさせる(36.1%)
- 好奇心を刺激し興味・関心を広げる(28.8%)
「課長職(相当)」「部長職(相当)」ともに、「成功体験」や「権限委譲」を重視しており、若手・中堅社員が主体的に働ける環境づくりを意識していることがわかった。課長職は「失敗を許容し、挑戦を促す」姿勢がやや強く、現場での実践を通じた成長を重視しているようである。
一方で部長職は、「好奇心を刺激する」ことに力を入れ、視野を広げる働きかけを意識している割合がやや高い。全体として、リーダー育成には経験と心理的安全性、主体性の醸成が鍵となっていることがうかがえる。
【調査概要】
「管理職の期待・実態・課題」に関する意識調査
調査期間:2025年6月10~13日
調査方法:PRIZMAによるインターネット調査
調査人数:1,020人
調査対象:調査回答時に300名以上の規模の会社の正社員かつ管理職(課長~部長クラス)の35~60歳であると回答したモニター
調査元:シェイク
モニター提供元:PRIZMAリサーチ