Celonisは、NTTコミュニケーションズが、Celonisのプロセスマイニングソリューションを導入し、カスタマーセンター業務におけるプロセスの可視化と効率化を実現した事例を発表した。
NTTコミュニケーションズ担当者のコメント
導入の背景
NTTコミュニケーションズは、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの組織再編に伴い、2022年よりNTTドコモグループの法人事業を担っています。 組織再編の際、NTTドコモの法人カスタマーセンターであるグランドサービスセンター(以下GSC)もNTTドコモのグループ会社からNTTコミュニケーションズのグループ会社へ移管されることとなりました。
GSCでは、以前より業務改善に向けてServiceNowベースの法人統合オペレーションシステムを導入していましたが、業務が効率的に進行しているか、また業務プロセスが当初の想定どおりに機能しているかがわかりづらい状況でした。現場の課題を感覚的には把握していたものの、定量的なデータをもとに現状を分析することはできていませんでした。分析したい場合は、特定の人がデータベースから情報を取得する必要もありました。
こうした状況の中、NTTコミュニケーションズとGSCが一体となってプロセスマイニングツールの導入を検討し、まずは業務の見える化を目的に、より詳細な解析を行うためにCelonisの導入を決めました。Celonisを選定した理由として、既存システムとの連携が重要だったため、ServiceNowと接続可能であることが必須であったこと、またGartner社の評価も高く、グローバル約50社における通信事業者の事例があることなどが決め手になりました。
ソリューション
NTTコミュニケーションズとGSCが一体となり業務効率化を進めていくなか、2023年5月から7月にかけて、Celonisの導入効果や技術的な可能性についてPoV(Proof of Value:価値検証)を実施しました。
ServiceNowとCelonisを接続してわずか3日で業務プロセスを可視化することができ、Celonisのプロセスエクスプローラーやバリアントエクスプローラーなどを使って、業務プロセスの全体像や関係性が視覚的に把握できるようになりました。Celonisの活用にあたっては、顧客対応における解決時間の短縮と問い合わせ件数の削減を重要視しました。
当初は、メール承認の簡略化、チャットボットやFAQを利用したお客様とのやり取り件数の削減など複数の改善機会の提案をCelonis導入パートナーから受けましたが、2023年8月以降の本格導入フェーズでは、NTTコミュニケーションズ・GSC自身でも改善ポイントを探って運用可能な体制構築を進めていきました。システムの構築を主導するNTTコミュニケーションズと、ユーザー側となる業務委託先のGSCがうまく協力し合いながら共通の目標に向かって取り組めたことは、今回のプロジェクトの注目すべき点の1つでした。
導入効果
NTTコミュニケーションズは、Celonisの本格導入以降、Celonis導入パートナーの支援無しで、分析したい情報を取得・集計して簡単なグラフや表を作成できるようになりつつあります。今後、完全に内製化できるようになれば、よりスピード感を持って業務改善のサイクルを回していけるようになると期待しています。
また、マニュアル作成などでオペレーター支援を担当する部署では、Celonisを使って日々の業務改善の効果を客観的に確認できる意義は大きいと感じており、オペレーターの作業効率化のために普段自分たちが提供している支援の内容が、オペレーターの負担軽減につながっていると客観的なデータで理解することができるようになっています。一部の対応を自動化したことで、お客様を含めた関係各所とのやり取りが減っているとわかれば、支援業務のモチベーション向上につながります。
またCelonisは、直感的に操作できるのも特徴で、業務に慣れていない期間でも、楽しみながら分析することができます。Celonisによるデータの可視化は、課題解決に向けた社内の説得にも役立っています。例えば、顧客先設備での異常発生時のアラーム対応を効率化する課題はもともと感覚的に把握していましたが、Celonisでその課題を定量的に可視化できたことで、営業担当への改善策の説明が容易になるという効果がありました。このように、Celonisの導入により、感覚を裏付けるデータを示せることで、改善策をリアルに進められるようになりました。
今後の展開
GSCでは、Celonisの活用をさらに進め、オペレーターのスキル向上や人材育成にもつなげていこうと考えています。現在は業務プロセス全体の可視化を進めていますが、将来的にはオペレーター個人単位の業務の可視化に取り組む予定です。また、オペレーターの定着に向けて、スキル習熟度を図るツールとしても活用していければと期待しています。