帝国データバンクは、「女性登用に対する企業の見解」に関する調査を実施した。同社が実施した女性登用に関する調査は、2013年以降、今回で9回目となる。
女性管理職の平均割合は8.9%で過去最高、「女性管理職30%」達成企業は8.6%に
自社における従業員に占める女性の割合をたずねたところ、女性従業員割合は平均26.5%となった(前年比0.7ポイント増)。「30%以上」と回答した企業は33.0%となり、比較可能な2014年以降でもっとも高くなっている。また、女性従業員割合が10%に満たない企業は27.3%(「10%未満」と「0%(全員男性)」の合計)となり、前年から1.0ポイント減少した。
自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は平均8.9%となり、過去最高を更新。前年比1.1ポイント増となり、伸び幅もこれまででもっとも大きい。また政府が目標として掲げている「女性管理職30%」を上回っている企業は8.6%で、依然として1ケタ台にとどまるものの過去最高となった。
自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均11.8%と、同1.0ポイント増加。また、役員が全員男性とする企業は半数超にのぼった。
「30%以上」は、「100%(全員女性)」「70%以上100%未満」「50%以上70%未満」「30%以上50%未満」の合計。「10%未満」は、「5%以上10%未満」「5%未満」の合計
女性管理職の割合を規模別にみると、「小規模企業」が平均11.9%でもっとも高く、規模が小さい企業ほど女性管理職の割合は高かった。業界別では『小売』が15.5%でもっとも高く、『不動産』も15.3%で続き、いずれも前年より3ポイント近く増加している。一方で、『製造』『建設』『運輸・倉庫』の3業界では全体(8.9%)を下回った。こうした企業からは、「現場でも女性に活躍していただきたいが、求人しても応募がなかなか無い」(一般土木建築工事、兵庫県)のような、女性の採用に苦心しているという声が多くみられた。
また、女性活躍推進法は2022年4月に改正法が施行され、女性活躍に関する情報公開の対象が、従業員数301人以上から101人以上の企業に拡大される予定となっている。それぞれの区分で女性管理職割合の平均をみると、従業員数が「301人以上」では6.5%(前年比0.3ポイント増)、「101人以上」では5.8%(同0.1ポイント増)だった。
また、「女性管理職30%」を超えている企業を細かくみると、女性管理職割合の平均と同様の傾向がみられ、規模別では「小規模企業」がもっとも高かった。業界別では『小売』『不動産』が上位となり、『製造』『建設』『運輸・倉庫』の3業界は低水準にとどまっている。なお、従業員数別の2区分は、ほぼ同じ水準だった。
女性の管理職割合が今後増加すると見込む企業は22.6%、前年比0.9ポイント増
自社における女性管理職割合は5年前と比較してどのように変わったかたずねたところ、「増加した」企業は20.7%。一方、「変わらない」とする企業は70.4%で7割を上回った。また、現在と比較して今後どのように変わると考えているかたずねたところ、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は22.6%(前年比0.9ポイント増)で、前年までは減少傾向だったが今回調査では増加に転じた。「変わらない」は58.9%(同1.4ポイント減)。女性役員については、5年前と比較して「増加した」企業は8.7%(同横ばい)、今後「増加する」と考えている企業は7.9%(同1.0ポイント増)となった。いずれにおいても「変わらない」が7割以上を占めている。
また、女性管理職割合が今後「増加する」と見込む割合を規模別にみると、大企業では39.9%となり全体(22.6%)を大きく上回った一方で、中小企業(19.1%)、小規模企業は(11.4%)は大企業を大きく下回った。女性役員割合についても同様の傾向がみられる。
女性登用を進めている企業は46.9%、落ち込んだ前年から4.3ポイント増加
自社において女性登用を進めているかたずねたところ、進めている企業は46.9%となった。過去最高だった2019年(50.0%)には達していないものの、大きく減少した2020年(42.6%)より4.3ポイント増加した。女性登用を進めている企業の内訳をみると、「社内人材の登用を進めている」は40.7%(前年比3.0ポイント増)、「社外からの登用を進めている」は11.5%(同1.3ポイント増)となり、それぞれ増加している。他方、約4割の企業では女性登用を「進めていない」結果となった。
「女性登用を進めている」は、「社内人材の登用を進めている」または「社外からの登用を進めている」のいずれかを回答した企業
女性管理職の割合が低水準となっている『製造』『建設』『運輸・倉庫』業界からも、前向きな声があがり、今後の女性登用に向けた意見がみられた。一方で、子どもの体調不良など緊急事態への対応が難しい環境や女性技術者数の少なさや求人への需要の少なさから、取り組みに難しさを感じている声も多くあげられている。
男性の育休取得推進は大企業では前向きも、中小企業では人員の課題が浮き彫りに
2021年6月、出産や育児などによる労働者の離職防止や仕事と育児の両立を目的に、改正育児・介護休業法が施行された。なかでも2022年4月からは、男性の柔軟な育児休業取得の推進に向けた枠組みが創設される予定となっている。そこで、自社における男性の育休取得に関する推進状況をたずねたところ、「積極的に取得を推進している」企業は9.5%。また、「今後推進する」とした企業は41.1%となり、合わせて約半数の企業が男性の育休取得推進に前向きに考えている結果となった。一方で、「特に何もしない」と回答した企業は39.5%だった。
各割合を規模別にみると、「積極的に推進している」に加えて、特に「今後推進する」において大きく差が表れている。大企業では51.4%にのぼる一方で、中小企業では39.0%、小規模企業では28.8%にとどまっている。中小企業からは、「規模の小さい企業では育休などによる不足人員を埋めるのは、金銭的に厳しい」(一般機械器具卸売、福岡県)や「育休の影響によって派遣社員の雇用など期間限定の補充も視野に入れているが、復職後の時短勤務も会社および社員にとって負担が大きい」(飲食料品・飼料製造、静岡県)など、人員面に対する課題をあげる意見が多くみられた。
調査概要
- 調査期間:2021年7月15日~31日
- 調査対象:全国2万4,285社
- 有効回答企業数:1万992社(回答率45.3%)