SFAに積極的でないのは現場だけではない
前回の記事では、SFAアプリケーションを導入している企業が多いにも関わらず、活用した成果を実感している企業は依然として少ない現状をお伝えしました。そして、営業担当者がSFAアプリケーションの利用に積極的でない、SFA活用で営業担当者には「やらされ感」がつきまとい、それを払拭するには、SFAを営業担当者にとって有益な仕組みとし、そこから生きた営業情報を収集し活用するという考えかたが必要であると説明しました。
しかし、「SFAアプリケーションの利用に積極的でない」のは、営業担当者だけではありません。営業担当者を監督、指導する営業管理者にも当てはまることなのです。では、IT部門は経営者を含む営業責任者に対して、何ができるのでしょうか?いくつか考えられます。
ひとつは、SFA活用によって得られた成果を各担当者にフィードバックすることです。SFAを比較的活用できていると言われる企業は、営業予測の精度が向上したことを成果として報告するケースが多く見られます。これは、各営業担当者が、案件単位で受注確度と受注時期を入力し、営業組織単位で集計することで実現する成果と言えます。
しかし、各営業担当者は、営業組織の責任者 (営業管理者) からフィードバックを受けなければ、自分の労力がどれだけ組織全体の成果に貢献できているのかを把握することができません。営業担当者が入力して得られたデータがどう組織全体の成果につながっているか、目に見えるかたちでのフィードバックが必要となります。
もうひとつ大事な点は、営業管理者が営業担当者の状況を理解し、本音を引き出し、幅広く集計できるよう支援することです。各営業担当者の入力により得られる情報は、決まった形式やタイミングで漏れや矛盾なく収集できることが営業管理者にとっては理想的です。しかし実際には、営業業務の多くは非定型で不規則な性質のものです。
そのため、本来入力すべきデータを強引に定型的な形式に落とし込もうとすると、営業案件の本質的な情報が損なわれることがあり得ます。また無理に形式に落とし込んで入力することで、各担当者がやらされ感を抱いたりしかねません。営業担当者にとっては、結果的に失注に終わった案件を詳細に記入しないといけない場合も、細かな報告はやらされ感につながります。
SFA活用によって、生きた営業情報を収集し活用するには、できるだけSFAアプリケーションに入力する際に「本音」や「直感」を引き出せる配慮が必要でしょう。IT担当者は、SFAアプリケーションが、営業担当者にとって、場所や時間に捉われずに入力でき、かつ入力しやすいものにする工夫が求められます。そして営業管理者は、普段から担当者との良好なコミュニケーションをとれる関係性を構築することが必要です。