コミューンは、シリーズCラウンドにおいて、40億円の第三者割当増資および15億円のベンチャーデットによる借り入れを実施し、総額55億円の資金調達を完了したことを発表した。第三者割当増資はすべての既存投資家からの追加出資に加え、日本グロースキャピタル投資法人(野村スパークス・インベストメント株式会社が運用)、JPインベストメント(※)、日本郵政キャピタルより新規出資となる。
※JPインベストメントの子会社と三井住友トラスト・インベストメント株式会社を共同運営者とするJPSグロース・インベストメント投資事業有限責任組合

資金調達の概要
コミューンは、既存投資家4社からの継続的な支援に加え、新たに3社の投資家を迎え入れ、ベンチャーデットも組み合わせることで、総額55億円の資金調達を実現した。
調達金額:総額55億円(第三者割当増資40億円+ベンチャーデット15億円)
第三者割当増資引受先:
- 既存株主
ファーストライト・キャピタル(リード投資家)、DNX Ventures(リード投資家)、Z Venture Capital、ジャフコ グループ
- 新規株主
日本グロースキャピタル、JPインベストメント、日本郵政キャピタル
ベンチャーデット:
- 長期借入契約
商工組合中央金庫、SBI新生銀行、静岡銀行、JA三井リース、福岡銀行
- 借入契約
Flex Capital(Fivot)
資金調達の背景
コミューンは、これまでコミュニティサクセスプラットフォーム「Commune」の開発・提供を通じて、組織と人がつながるコミュニティの構築を支援してきた。累計100万人以上の登録者、累計500万件以上の声が集まるこれらのコミュニティでは、顧客・従業員との相互コミュニケーションによる信頼が構築され、ロイヤルティ・LTVの向上や新商品開発など、事業の成長につながっている。
調達資金の使途

コミューンでは、前回資金調達を発表した2021年9月以降、MRR(Monthly Recurring Revenue、月次経常収益)は600%成長したほか、コミュニティ運営支援など複数ソリューションの展開、グローバル市場への進出を進めてきた。
今回調達した資金は、「信頼起点経営」を実現するための核心技術の開発と概念の浸透に集中投資される。そして、信頼起点経営が経済合理である社会の実現を世界で目指す。
その具体的な取り組みは次のとおり。
「信頼」への投資対効果を「定量化」するプロダクトの開発
これまで感覚値や定性的評価にとどまっていた信頼の価値を、定量的に測定し、ROIが試算可能になる技術開発を進める。顧客・従業員との信頼関係の構築に対する投資が、具体的にどの程度の事業成果(売上向上、コスト削減、離職率改善など)に結びつくかを科学的に分析・予測できる計測手法およびソリューションを確立する。これにより、経営層が信頼への投資判断を定量的根拠をもって行えるようになる。
「信頼」を構築し、「事業成果に転換」するプロダクトの開発
顧客・従業員との信頼を構築し、具体的な事業成果に転換する手法の開発・提供を強化する。具体的には、信頼関係の構築と事業成長への寄与を可視化、理解、育成、創造という4つのプロセスに分解し、実行を担うソリューションの開発を行う。現在提供しているコミュニティサクセスプラットフォームCommuneは信頼関係の育成を担う中核プロダクトとして維持拡大し、可視化、理解、創造を可能にするソリューションは、新プロダクトとして開発を進める。
「信頼起点経営」を実現するフルファネルサービスの展開
現状分析、戦略の立案、インサイトの発掘、ブランド体験の設計、コンテンツの作成、イベントの実施、紹介キャンペーンの実施など、信頼構築から事業インパクト創出までの一連のアクションをプロダクトに限定せず体系化し、再現可能な手法として確立し提供する。
これらの手法をグローバル市場でも展開するため、コミューンでは2022年より米国にも拠点を置き、2024年より本格的にグローバル展開を開始した。現在は米国市場の顧客を中心にプロダクト・サービスの導入が進み、MRRは前年比490%成長している。今後は、日本企業の海外展開支援も含め、グローバルでの信頼起点経営の実現を支援する。
経営体制について
コミューンでは、これらの展開についてより一層の成長加速を目指していくため、新経営体制へ移行した。本ラウンドのリード投資家でもあるファーストライト・キャピタルの岩澤脩氏、DNX Venturesの倉林陽氏の2名が社外取締役として就任した。
投資家からのコメント
ファーストライト・キャピタル 代表取締役 マネージング・パートナー 岩澤脩氏

シード期から伴走してきたコミューンが、シリーズCラウンドの資金調達を実現し、コミュニティSaaSから「信頼起点経営」支援カンパニーへと進化します。本ラウンドも継続出資の機会を頂き、大変光栄に思っております。この挑戦は単なる事業拡張ではなく、顧客・従業員と組織の関係性を再定義する新たな価値創造です。取締役として、事業成長とガバナンス強化の双方に尽力し、新市場開拓を通じてコミューンの持続的かつ非連続な成長に貢献してまいります。
DNX Ventures マネージングパートナー兼日本代表 倉林陽氏

この度、シリーズCラウンドにおいてコミューン社にCo-Lead Investorとして出資できることを大変嬉しく思います。2020年のシリーズAラウンドでリード投資家として参画して以来、コミューン社とは継続的に密接な信頼関係を築いてまいりました。高田氏の卓越したリーダーシップのもと、同社は顧客との共創を軸にプロダクトと事業の進化を着実に積み上げており、その姿勢に改めて敬意を表します。今後も、顧客とのつながりをより一層深めながら、さらなる成長を遂げられることを期待しています。
Z Venture Capitalパートナー 湯田将紀氏

AIが進化する今の時代は、人間の本質を改めて問い直させます。その中で、人と人とを媒介し想いや情熱を結ぶコミュニティの価値は、今後ますます高まると考えています。コミューンはその価値を最も深く理解する企業であり、中長期的な成長を見据えて追加出資を決めました。素晴らしい未来を、共につくりましょう。
ジャフコ グループ パートナー 北澤知丈氏

2021年9月の初回投資からご一緒させていただく中で、コミューンの進化と成長を目の当たりにしてきました。卓越したチームの手によって描いた戦略が次々と実現されると共に、チームそのものも更に強固な体制となりました。その道のりを見てきたからこそ、同社の未来に対する我々の確信は、ますます強まっています。引き続き、日本のみならずグローバルで成長されることを期待しております。
野村スパークス・インベストメント 投資運用部 ヴァイス・プレジデント 松本健太氏

この度、コミューン社の資金調達ラウンドに参画させていただけることを心より喜ばしく思います。
コミューン社は、従来型の施策では解消できないマーケティングの課題に対し、顧客の力を借りることで企業の成長支援が可能なプラットフォームとなりえると当社では考えております。
当社は、コミューン社が合理的に資本を配分することにより、「あらゆる組織とひとが融け合う未来をつくる」という同社のビジョン実現に期待しています。
JPインベストメント グロース投資部 ヴァイスプレジデント 万代 将吾氏

個人の情報収集・購買行動がダイナミックに変化する中で、消費者との繋がり方・距離感に課題を感じる企業も多いです。企業とユーザーが直接繋がれるコミュニティの構築を起点に、成果創出へ真摯にコミットするコミューンの姿勢に強く共感し、今回、投資家としてご一緒する機会をいただきました。
コミュニティを通じた豊かなユーザー体験が、もっと幅広い商品・サービスで得られる世界を、一消費者としても期待しております。
日本郵政キャピタル 投資部門 ディレクター 小倉祐太氏

デジタル化の進展で、小売・サービスの顧客接点やメーカー開発、 大企業のオープンイノベーションなど、コミュニティの重要性が増しています。日本郵政グループにおいても、投資検討を機にコミューン のサービスを利用しており、きめ細かい対応を頂いております。特に、コミュニティ立ち上げを専門に行っている人材がいない弊社グループにおいては、 BPOサービスがあることで、システムだけでなく運用面でも安心してお任せできる点に、大きな魅力を感じます。共に新たな価値を創り出し、社会を変える挑戦を続けていけることを心から楽しみにしております。
コミューン 代表取締役CEO 高田優哉氏のコメント

この度「信頼起点経営」の実現に向け、素晴らしい投資家、金融機関の皆様にご支援いただけることを大変うれしく思います。人口動態の変化やAIの普及、個人のメディアパワーの高まりのなかで、企業の資産である顧客・従業員とのつながりから信頼を育み、信頼を事業成長に活かす「信頼起点経営」の必要性が急速に高まっています。今回調達した資金を活用し「信頼起点経営」実現のためのソリューション群を構築し、グローバル市場へ展開してまいります。