Sansanは、対話型AIを活用した機能「AI営業ロールプレイング」を「Sansan Labs」へ実装したことを発表した。
開発背景
Sansan Labsでは、実験的な機能として、自社で蓄積した名刺データをはじめとする接点情報や企業情報、ウェブ上に散在する公開情報を活用し、営業活動の効率化や社内コラボレーションの活性化、顧客接点の分析などに貢献する機能を公開してきた。Sansan Labsは、Sansanの研究開発部が主導して開発しており、生成AI領域の機能開発を推進してGPTを活用した新機能をリリースしている。
営業活動における商談は重要だが、顧客を前にすると緊張したり予期しない質問を受けたりと想定どおりに進まない場面も多く、多くの企業ではロールプレイング形式の模擬演習を取り入れている。とくに、新入社員や新商材の営業を任された担当者は、ロールプレイングを通じて基本スキルや商談の流れを習得する。
一方、こうした演習を行うためには、経験豊富な顧客役の準備やシナリオ策定、実施後のフィードバックが必要であり、準備や日程調整、事後の対応に工数がかかるため、急な商談時には実施が難しいという課題があった。このような背景から、対話型AIを用いた新機能「AI営業ロールプレイング」をSansan Labsへ実装した。
機能の概要
「AI営業ロールプレイング」は、「初級」「中級」「上級」の3段階から難易度を選択し、想定顧客の「業界名」「部署名」などを入力することでチャット形式の演習が開始される。入力された情報を基にAIが業界動向や有価証券報告書を分析し(※)、自動で商談相手の性格やプロフィールを生成して顧客役を務める。
「次の商談日程を取り付けること」が演習のゴールとして設定されており、ユーザーは日程調整の許諾を得るまで自由に質問や提案を行うことができる。
※Sansan Labsに実装されている「5分で読める業界動向」や「5分で読める有価証券報告書」の機能を組み合せて実現している
演習の最後には、会話を通してユーザーが商談相手との信頼関係構築から提案までをどのように行えたかといったまとめや、全体を通して「良かった点」「改善点」「獲得した商談ですべきこと」などがフィードバックされる。また、AIが顧客役として設定した人物像の「名前」「年齢」「性別」「部署・役職名」「性格」「業務上での悩み」「直近・中長期での課題」なども開示されるほか、過去に実施したロールプレイングの内容も確認できる。