クラウド型データ活用プラットフォーム「Domo」を提供するドーモは、ヤマハが全社的な意思決定と行動を変革するためのデータ戦略にDomoを活用していることを発表した。
導入の背景
ヤマハは、1887年の創業以来、音・音楽に関連する事業を中核としている。昨今の急速なデジタル化の加速により、人々の生活様式や音楽へのかかわり方などが変化したことを受け、現在のビジネス・事業環境を正しく理解する必要性が高まり、同社は2019年にDX戦略委員会を設置した。そして「意思決定・行動のためのデータ戦略」を打ち立て、社員個々人で異なるデータを用いるのではなく、全社員が同じデータと指標に基づいて、判断、行動ができる環境を整えてきた。また、全社的なデータの展開を見据えて、意思決定プロセスを支援するツールとしてDomoの活用に至った。
Domoを活用した「意思決定・行動のためのデータ戦略」
データアンバサダー賞(※)を受賞した濱崎司氏が所属するヤマハ 情報システム部 DX戦略グループでは、全社的に意思決定と行動を変革するため、データ戦略で重要となる社内における「データによる認識合わせ」を行った。
1.意思決定に必要なデータの定義・統合
ヤマハでは、意思決定に際し、社内のデータに加えて、社内データの妥当性を測るエビデンスとして社外のデータもDomoに統合した。とくに市場環境が急速に変化する中、その変化を捉えるデータの重要度が高まり、ウェブやSNSで得られるものも含めた人を起点としたリアルタイムデータを理解しやすいようにDomoで可視化。さらに、市場把握、競合把握、財務状況把握、非財務状況把握などの目的別に、データ群をDomoのダッシュボードで体系化し、ビジネス環境が激変する中でもスピーディーに意思決定ができるように整備した。
2.意思決定に至る思考プロセスをDomoのダッシュボードで再現
意思決定における思考の3つのプロセスである「(1)ロジカルシンキング(論理的に物事をブレークダウンすること)」「(2)ラテラルシンキング(結果に至るプロセスを多角的に考えること)」「(3)クリティカルシンキング(前提条件、状況を疑うこと)」について、Domoのさまざまな機能を使うことで3つの思考の切り替えをシームレスに実現した。たとえば、ロジカルシンキングにはフィルターの条件の絞り込みやプルダウンを使ったブレークダウンを活用し、ラテラルシンキングにはグラフやテーブルを横にレイアウトして異なるデータの比較が容易にできるように配置した。
そして、Domoの同一ページ内に関連する前提条件を集約させ、スピーディーに確認できるように内包したため、視線を変えることなく視点を瞬時に切り替えることができ、思考を止めずに意思決定を行うことができるようになった。
3.意思決定の最適化(BI/AI連携)
ヤマハでは、意思決定の種類とソリューションを区分して、BI化に適しているものと、適していないものに分類している。可視化して判断しやすくなるものや統合して判断しやすくなるものはBI化に適している。一方で、膨大なデータの収集を伴うものや複雑なデータ加工を伴うもの、情報の収集が目的ではなく要約した情報が欲しいという場合には生成AIを活用している。具体的には、Domoで出した競合分析結果をより掘り下げたいときに、同社内のビジネスアナリストの知見を活かした生成AIプロンプトをDomoのタブに用意し、そこからダイレクトに要約を得られるように構築している。
このようにBIとAIを掛け合わせることで、容易に課題を把握できる仕組みを整えている。
また、ヤマハではデータによる認識合わせ以外にも、データ戦略として「DX教育による視点合わせ」や「組織を超えて意識を合わせるコミュニティ活動」を連携して行っている。そして、今後の新たな課題に対しても、3つを連動させて持続可能な意思決定の仕組みとして定着化を図っていく。
※ドーモが提唱するDXを成功に導くための必須人材