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内部通報窓口への年間通報件数は従業員100人あたり約0.5件/エス・ピー・ネットワーク調査

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 企業の危機管理を総合的に支援するエス・ピー・ネットワークは、365社の内部通報窓口担当者を対象に内部通報制度の運営状況を調査した。

年間通報件数は従業員100人あたり約0.5件

 従業員100人あたりの通報件数を算出(総通報件数/総従業員数)した結果、0.54件/年だった。エス・ピー・ネットワークが実施した2018年調査結果の約0.5件/年、2021年調査結果の約1.3件/年と比較すると、2021年調査からは通報が減少している。

13.1%の企業で、通報者に対する不利益行為(嫌がらせや報復人事など)が確認されたことがある

 今回の調査において、不利益行為が確認されたことが「ある」という回答は13.1%だった。しかし、通報者への不利益行為は法令違反であり、本来であれば0%でなければならない。

パワハラの疑いの通報のうち、調査の結果パワハラと認定されるのは約半数の企業で10%以下

「パワハラではないか?として通報が入るのは全体の何%か」と質問したところ、「51%以上である」との回答を選択した企業は全体の約3割(32.6%)だった。その中で、「パワハラではないか?という通報のうち、調査の結果パワハラと認定されるのは何%か」と質問に「10%以下である」との回答を選択した企業は約半数(52.1%)だった。

内部通報窓口が不満のはけ口として利用されることに苦慮する担当者の声も

 内部通報の課題として、内部通報窓口が不満のはけ口として利用されたり、部門で解決すべき問題までもが窓口に寄せられたりしているという回答が確認された。

 8割を超える企業においては通報者への不利益行為が確認されなかったことから、内部通報や公益通報における通報者保護の意識は浸透していると考えられる一方で、本来の内部通報制度の目的とは異なる、不平や不満の通報や、本来であれば職制上のラインで解決すべき内容の通報が寄せられ、その対応に窓口担当者が疲弊してしまうという現実も浮き彫りになった。

【Q.貴社の内部通報に関する課題として、どのようなことがありますか(自由記述)】※一部抜粋、加筆

  • 個人的な不満と対応すべき通報の選別
  • 公益通報者保護法に則り、法令違反や不正に関するものには真摯に対応したいが、通報案件のほとんどが不平や不満であり、本来、職制を通じて解決すべきものが多いと思うし、自分の思い通りに行かないことが全て上司のパワハラでは無い。通報制度は愚痴を聞いてくれる場所だと勘違いしていると思うし、匿名で一方的に通報されて、解決できるようなものではないことを、通報者側にも周知することが必要だと思う
  • 上司への意見、退職代行など「本来は自組織で解決すべき案件」を内部通報を通じて自身は安全圏に身を置きながら自己の希望を成し遂げようとする案件が多数あり、組織の機能不全を招く恐れのあること
  • 内部通報以前の事業所内のコミュニケーションがしっかりとれていないことで通報につながってしまっているケースが大多数のため、事業所内のコミュニケーション対策が必要だと考えていますが、具体的に動いている訳ではありません

約4割の企業が会社の対応結果に納得が行かない通報者の対応に苦慮した経験あり

 今回の調査においては37.6%の企業で、会社の対応結果に納得がいかない通報者の対応に苦慮したことがあるという回答を得た。

 内部通報は通報された後、通報内容を調査したうえで、加害者への指導や処分などの対応がされるが、必ずしも通報者の望む通りの結果になるとはかぎらない。こうした会社の調査結果に納得せず、調査のやり直しを求めたり、しつこく通報を続けたり、調査内容をSNSに掲載したりする通報者もいる事実が明らかになった。

【Q.具体的な内容を教えてください(自由記述)】※一部抜粋、加筆

  • ハラスメントを受けたという通報者に対して、調査の結果、ハラスメントはなかったという結論になったが、それを受け入れない
  • 損害賠償訴訟を提起された/通報に基づく調査内容・やりとりをSNSに上げられた
  • 社外メディアに通報
  • 被通報者に人事上の処分がなかったことに対して納得せずに、しつこく通報を続ける
  • 調査や事実確認をした結果を回答しても、自分の要求が通らないと、何度も同じ通報をしてくる
  • 会社としてはできる範囲の対応はしたつもりでも、状況が改善されないとして退職してしまう事例があった
  • 説諭をしても理解してもらえず、大声で喚き散らしたり、親が出てきて納得がいかないと大騒ぎした
  • 誰かを貶める目的で通報し、それが達成できないとなると大騒ぎをする
  • 調査の結果、通報者自身の虚偽申告の疑いが強い

窓口担当者(従事者)の人員不足や属人化・ノウハウ蓄積に課題あり

 2022年の改正公益通報者保護法施行により、従業員数が301人以上の事業者には公益通報対応業務従事者(以下「従事者」)を指定することが義務づけられ、従事者への研修も義務化された。そうした中、企業担当者の悩みとしては担当者の不足や対応の属人化、ノウハウの蓄積に課題を感じる声が寄せられた。

【Q.貴社の内部通報に関する課題として、どのようなことがありますか(自由記述)】※一部抜粋、加筆

  • 従事者として不慣れであり、都度、専門の方に相談しながら進めている
  • 社内通報先が一人のみの為、これ以上件数が増えると対応できない
  • 対応従事者の疲弊
  • 通報に対しての従事する社員数がすくなく体制が脆弱であること
  • 属人的にならないような体制の整備が不十分。担当者の人員リソース不足
  • 職員のトレーニング(人間関係やチームワーク・チームマネジメントを良好に維持するためのスキル・ノウハウ)従事者の調査・是正処置のスキルアップ対応人員の充実(含む直接事案対応にあたれる従事者の確保)
  • 対応ノウハウの蓄積と、後任者の育成
  • 通報対応業務従事者のレベルアップ、など

約半数の企業で内部通報に関するマニュアルがない

 今回の調査においては、49.7%の企業において内部通報に関するマニュアルがないとの回答が得られた。

約半数の企業で内部通報体制を定期的に評価・点検していない

 公益通報者保護法では、「内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し、必要に応じて内部公益通報対応体制の改善を行う」ことが義務づけられている。しかし、今回の調査においては、48.9%の企業において、内部通報体制を定期的に評価・点検していないことがわかった。

【調査概要】

調査期間:2024年7月19日~8月18日

調査方法:ウェブアンケート調査

調査対象

・エス・ピー・ネットワークのクライアントおよびメルマガ登録企業・国内売上上位1,000社

・ハイテクノロジーコミュニケーションズの顧客

・ウェブ調査アンケートサービス(調査協力会社:マクロミル)

※上記回答者から、従業員数300名以上の企業323社

サンプル総数:365社

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