営業現場にもある、「心霊写真」のような文章とは?
「メールでセミナーの出欠をたずねたが、返答期限を過ぎても連絡がない」
「お客様にしてほしいことがあって連絡したが、返信がない」
このような経験はないでしょうか? 思いどおりの行動をとってもらえないとイライラしますし、その後の仕事の段取りにも悪影響が生じますよね。今回は、顧客に思いどおりの行動をとってもらうための「CTAをはっきり書く」というスキルをご紹介します。
いきなり変わった質問ですが、あなたは「心霊写真」を見たことはあるでしょうか? テレビや雑誌の特集でたまに取り上げられていますね。一見普通の写真だけれど、「右端に女性の顔が映っています」と言われてから改めてよく見ると、たしかに顔に見えなくもない。営業現場では、この「心霊写真のような文章」、つまり「説明されてはじめて何となく意味がわかる文章」をよく見かけます。
文章は「一方的に情報を伝える場面」で使われることがほとんどです。お互いの認識のズレを修正しながら進められる“会話”とは違い、メールや手紙、ランディングページといった“文章”では、相手がどのように理解したかを都度確認できません。そのため、どこからどう読んでも正しく意図が伝わるよう、はっきり書く必要があります。
とくに、自分が読み手に「どんな行動をとってほしいのか」を明確に書くのがポイントです。これが、コピーライティングの「CTA(Call to Action)」という概念です。
「次にとるべき行動」を読み手に考えさせない
「CTA(Call to Action)」は、直訳すると「行動を呼びかける」ことを意味します。コピーライティングの世界では、「お申し込みはこちらのURLをクリックしてください」「0120-×××-×××まで今すぐお電話ください」といった、読み手に行動をうながす文章のことです。多くの場合、CTAは申し込みなどのボタンの中やその前後に書かれますが、今回はもう少し広く解釈して、「相手にとってほしい行動を明示すること」ととらえます。次の例を見てください。
○月○日(○)13時より新サービスの説明会を開催しますので、お集まりいただけますようお願いいたします。
案内メールなどでよく見る一般的な文章です。書き手は「説明会を定刻に開始したい」と考えているのですが、この文章からは書き手が何を望んでいるのか、読み手はこのあとどうすれば良いのかはっきりと書かれていません。「5分前に会場へ到着すれば十分だろう」と思う人もいれば、「最初はアジェンダの説明だろうし、少しくらい遅れても平気だろう」と考える人もいるかもしれませんね。どのような行動をとれば良いか読み手に考えさせる文章は、読み手による「判断の違い」を生んでしまいます。そのため、こちらが意図した行動をとってもらえない可能性が高くなるのです。
○月○日(○)13時より新サービスの説明会を開催します。会のはじめに新サービスのCMに登場するスペシャルゲストからご来場の皆様へ特別なプレゼントがございますので、12時50分にはご着席いただけますようお願いいたします。
このように、何のために、いつまでに、何をすれば良いのかを明確に書くことで、読み手は次にとるべき行動を自分で考える必要がなくなります。こうすることで、読み手による判断の違いが生じず、書き手が望む行動をとってもらうことができるのです。 次ページでは、実際のセールスの現場でどのようにCTAを活用するか解説します。