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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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大手企業への営業戦略と実践~持続的な事業成長に向けて~ 『エンタープライズセールス』出版記念イベント by SalesZine

2024年11月20日(水)15:00~17:10

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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あたらしい営業のキャリア

突破するだけが営業ではない 元キーエンスのトップ営業、天野眞也氏は「営業という仕事」をどう見ているか


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「転んだり不安定になるのは、近くを見ているときなんですよ」(天野氏)。営業という仕事は難しく大変だ。新人であれベテランであれ、誰しもふらついたり、立ち止まってしまったりするときがあるだろう。そんなときは「足元から目線を上げて遠くを見ることが安定する秘訣」だという。元・キーエンスのトップ営業は、どのような視座で「営業」という仕事を捉えてきたのだろうか──。新入社員からマネージャー層にまで役立つ、営業のヒントを本稿に詰め込んだ。

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営業の売れない理由の8割は「不戦敗」

──キーエンスで営業として長く活躍してこられ、現在も書籍やYouTubeで独自の営業ノウハウを発信されている天野さんですが、「営業という仕事」をどのように捉えているか教えてください。

株式会社FAプロダクツ 会長 天野眞也氏

1992年、キーエンスに初代新卒として入社し、工場の自動化に関わるセンサーやカメラの提案に従事。入社1年目で同期の中で営業ランキング1位、入社2年目以降もランキング上位の実績をあげ、その後、グループ責任者、営業所長を経て社長直轄の海外営業・重点顧客プロジェクトの初代リーダーに抜擢。売上数百億円から二千億円の企業へと成長するまでの期間、営業として第一線でけん引する。2010年に起業し、現在はFAプロダクツ会長、ロボコム社長などを兼務。製造業のDXから生産ラインの開発・実装までを包括的に支援する事業を展開している

そもそも私は、世の中には営業という仕事を難しく捉えすぎている人が多いなと感じています。営業を難しくしている理由は大きくふたつ考えられます。

ひとつめの理由は「営業を体系的に教えてもらえる機会がほとんどない」こと。大学では経営や経済、マーケティングなどの学問はありますが、営業についての学問はありません。社会人になっていきなり「営業」に出会ってしまうわけです。企業に入ったあとも、しっかりとした教育体制がないことが多いです。

私の若手営業時代には、スキルやノウハウを「盗め」と言われていました。新卒でいきなり「盗め」と言われ、何を盗むか、どの順番で盗めば良いかもわからない。しかもここにノルマも乗っかってくるわけです。教えられてもいないのに「結果を出せ」「売ってなんぼだ」と言われたら、多くの人が“営業アレルギー”を起こすのも当然だと思います。

ふたつめの理由は「営業とは、自社製品やサービスを欲していない人に説得・交渉して売るもの」という誤解があること。よく営業パーソンからの質問で「こんなにコストに厳しいお客様がいるのですが、天野さんならどう突破しますか?」「気難しいお客様をどう突破しますか?」と聞かれます。このような悩みや課題を抱えている方が非常に多いのですが、営業のポイントは「突破しない」ことだと私は考えています。

──「突破しない」! その真意を教えてください。

たしかに「難しい交渉だったが売れた」という経験は自己肯定感にもつながります。そこに営業のやりがいがあることも重々理解しています。

それでも突破しない理由はシンプルです。営業という仕事は「自分サイド」で語られることが多く、「こちらが売る」のではなく「お客様が買う」という視点を営業パーソンは忘れてしまいがちなのです。自社製品を提案することはもちろん大事ですが、お客様が何らかの理由で「NO」と言っているわけです。そこを乗り越える必要が果たしてあるのでしょうか。

私はよく「ハンバーグ」で例えます。お腹が減っていない、と言うお客様にPRポイント満載の美味しいハンバーグをお薦めしたとして、お客様は食べてくれますか? 「いやいや、もう食べられないよ」と言うはずです。お客様が食べない理由はほかにもいろいろ考えられます。食べたばかりなのかもしれないし、お腹の調子が悪いのかもしれません。その理由が何であれ「今は食べたくありません」という人に対して無理に薦めてしまっている。この状況が営業という仕事をより難しく感じさせるのです。

逆に、最高に美味しいハンバーグを、お腹ペコペコのジャストタイムで持ってきた場合はどうでしょうか? お客様はきっと「ちょうど食べたかったんだよ!」と言って食べてくれますよね。しかも、食べてみて本当に美味しかったら、感謝してくれるはずなんですよ。食べてもらって、お金もいただいて、感謝もしていただける。嬉しくないですか? 今は飲食で例えましたが、営業もシンプルにそこを目指せば良いじゃないか、という話です。

営業の売れない理由の8割は「不戦敗」です。営業パーソンは売れない理由を価格やスペックのせいにしがちですが、「お腹が減っているお客様に出会えていない」という不戦敗がほとんどなのです。パレートの法則で考えると、お腹が減っているお客様が2割で、残りの8割はまったくお腹が減っていないか、こちらの存在を知らない/無関心なグレーゾーンの人たちです。営業がすべきことは「2割のお腹が減っているお客様をどれだけ探すことができるか」。これだけなんです。そのためにはとにかく多くのお客様に出会う、つまり「数」をこなすことが非常に重要なのです。

次のページ
お客様が「買う」タイミングを見極め「分母」を把握する 

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この記事の著者

SalesZine編集部 宮地真里衣(セールスジンヘンシュウブ ミヤジマリイ)

新卒で営業職を経験したのち、編集プロダクションに転職し雑誌やウェブ広告の編集業務に携わる。2022年11月翔泳社入社。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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