ポイントは「成功体験を持つ30~40代」が変わること
──今後のチャレンジについて教えてください。
喜多 Customer 360の世界をより実現していくことですね。たとえば、当社の場合、CRMと品質保証のプロセスがつながっていますが、現在はリージョンごとにプロセスが異なります。これをグローバルで標準化していく予定です。
また、現在の直線的なプロセスをぐるっと回る循環型サイクルのようなものにしていきたいとも考えています。たとえば運用保守などのサービスから次のビジネスにつながるケースが非常に多いのですが、それをプロセスとして定義できていませんでした。今後、サブスクリプション型のサービスビジネスの拡大に合わせ、プロセスを見直す必要性が高まっています。「停滞し、消滅してしまった商談」「敗退してしまった提案」などでその後がフォローできていないリード・お客様を、マーケティング、デジタルセールス、セールス、カスタマーサクセスのプロセスの中で循環させ、取りこぼさないようにすること。それをグローバルで標準化していきたいです。
さらに、現在ERPのグローバル標準化プロジェクトも並行していますから、CRMとも連動させてこちらもしっかり進めていきたいです。
──OneCRMのプロジェクトは、うまくスタートを切っていらっしゃいます。新しい仕組みづくりやテクノロジーの活用で、より良い営業組織をつくろうとしている読者の方々に、それぞれの立場からアドバイスをお願いします。
矢岡 マーケティングの立場からは、千里の道も一歩よりとお伝えしたいです。競争は激化し、自分たちの本業が5年後にどうなっているかわからない状態が続いています。戦略なしで攻めることは無謀ですし、戦略立案のためには自分たちのことや競合のこと、またお客様をよく知る必要があります。そして、インテントデータも連携できるSalesforceは、そのような準備に適したソリューションです。
マーケティング部門も会社の収益構造、利益へのインパクト、そして顧客をより一層理解する必要があると思っています。ツールやプロセスの整備を行いながらも、新しいビジネスの芽がどこにあるかを見つけていく役割にもなっていくはずです。私ももちろんですが、立ち上がって、腹をくくって、会社全体でデータを活用するための旗振りを行っていきましょう。
友廣 会社規模が大きくなるほどに「会社がやってくれない」「グローバルが……」という人が増えますが、「会社」という人も、「グローバル」という人も存在しません(笑)。曖昧なもののせいにせず、誰かが声を上げないと変わらないと理解することが重要だと思います。
前職の外資企業ではロジカルさと正論が求められました。そして正論は時に人を傷つけることがあります。日本企業で改革を進める中で、ロジカルと情熱、ふたつを組み合わせて人を動かすことの重要性を感じるようになりました。これは外から日本の大手企業に来た私の使命だと思っていますし、生意気なことを言うと日本企業の10年、15年先を見ているからこそ、そこに近づくためのプロセスやアイディアも知っています。それをロジカルだけでなく、熱意を合わせて伝えていけるか、そんな姿勢で取り組んでいくことが大事だと思っています。
喜多 私自身、営業経験が長いこともあり、お客様企業を見ていてもCRMの取り組みが難しいことを理解しています。とくに日本企業では、ひとつの部署やお客様を長く担当して、成功体験を積み上げた人が上に上がっていきやすく、新しいやり方に取り組みづらい環境もあると思います。
ただ冒頭でお伝えしたとおり、富士通に限らず、人材の流動性も高まっています。プロセスをプラットフォームに合わせると決めたときも、若手は「そういうものだと思っている」と順応していましたが、もっとも戸惑っていたのが30~40代のマネジメント層ですね。
それぞれの成功体験はあると思うのですが、シンプルに社会の変化に合わせて自分たちも変わっていく必要がありますし、ツール活用を含め、昔ほど変わる方法は難しくないですよとお伝えしたいですね。我々の事例も参考にしていただきつつ、悩んだらまず取り組んでみると良いと思います。
──これからの大きな挑戦も楽しみです。本日はありがとうございました!
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