問い合わせ数2倍! 老舗メーカーの活用事例
当然のことながら「契約してツールを導入すれば万事解決する」というものではない。MAを機能させるためには「どう使うか」が重要だ。関氏は「SATORI」を導入して顕著な成果を出した4社の事例を基に、活用のポイントを解説する。
1社めは、問い合わせ数が2倍になった老舗機械部品メーカーの事例だ。同社は対面営業が主流営業手法をとっており、業界においてはトップクラスの知名度を誇っていた。主な売上は既存顧客からの創出が中心となる。一方で、新規顧客の開拓に課題を抱えていた。
元々は展示会で名刺交換をした人に後日電話をかけてアポをとっていたが、コロナ禍でアプローチの変更を余儀なくされた。名刺・顧客情報の管理から受注までの全プロセスをひとりの営業担当者が担っていたため、営業活動は属人化。個人の力量に売上が左右されていた。
そこで同社はMAツール「SATORI」を導入し、まずはWebサイトを訪れたユーザーの行動を可視化した。次に、商品に興味を持っていることが想定される顧客をグルーピング。検討が高まった顧客の行動条件に該当したグループを抽出し、Web接客機能を使ってメッセージを表示するようにした。これらのアプローチが、問い合わせ数の2倍増につながったという。
関氏はこの事例のポイントとして「見込み顧客のグルーピング」「導線の明確化」「的確なメッセージの表示」の3点を挙げる。
「Webサイト訪問者の中から『特定の商品のページを頻繁に見ているユーザー』『導入事例や料金ページを見ているユーザー』をグループ化しました。これらのグループを今すぐに情報が欲しい見込み顧客と捉え、彼らにだけ画面右下に導線をポップアップ表示。遠回りをさせず、問い合わせページへ直接誘導することにより、問い合わせのハードルを下げることができたのです」(関氏)
施策のパーソナライズでセミナーの申込数を9.2倍に
2社めは、セミナーの申し込み数が9.2倍になった大手金融機関の事例である。デジタル化自体は進み、Webサイトに一定数の流入はあった同社だが、リードの獲得にまでは至らず。また複数の商材を扱っているにもかかわらず、顧客とのコミュニケーションが通り一遍になってしまっている点にも課題を感じていたという。
そこで同社は「SATORI」を活用。誘導したいセミナーコンテンツに合わせた訴求と導線の強化を行った。Webサイトの訪問者に対してWeb接客機能でメッセージを表示し、その後は特定のアクションをとった顧客に対して送信するメールのシナリオを変更。パーソナライズしたコミュニケーションを自動で行えるようにした。
「1人ひとりの行動に応じてシナリオメールを出し分けることにより、成約前のコミュニケーションだけでなく、成約後の定着や関係性の構築にも『SATORI』を役立てていらっしゃいます。ほかにも、メールの特性に合わせた件名を付けるなど工夫を重ね、開封率80%を実現されているそうです」(関氏)