インサイドセールスとしての経験は20年弱
――まず、現職に就くまでのキャリアから教えていただけますか。
インサイドセールスとしてのキャリアの始まりは、2001年にできたばかりの日本アイビーエム・イーコミュニケーションズ(e-Comm)に入社したときからです。この会社は日本IBMが非対面営業を強化するために作った子会社で、私はその1期生でした。2011年7月に日本IBMに統合されたので、その会社はもうありませんが、IBMに転籍してからもインサイドセールスとしてキャリアを築いてきました。
当時を振り返ると、中堅中小企業向けのセールスは、非対面で売り切る「テレセールス」と、担当テリトリーの案件発掘とリレーション構築を行う「テレカバレージ」の二つがあり、私が所属していたのは後者です。私の担当していたテリトリーは東北6県や中部地区の製造業など、物理的に会いに行くことは難しいところが中心でした。担当テリトリーが首都圏の場合、フィールドセールスのように実際に会いに行ってクローズすることも可能ですが、私は10年以上にわたり本来のインサイドセールスらしい仕事をしてきたと思います。
2012年からはインサイドセールスに加え、営業活動を円滑に進めるためのツールを使えるようにしたり、データを分析して案件の発掘をしたり、Webセミナーの企画などのマーケティングやセールス・イネーブルメントにも関わってきました。
――長く勤めてきた会社からZendeskに移るきっかけは何だったのでしょうか。
Zendeskに入社したのは2017年です。転職の決め手を振り返ると、藤本さん(現社長の藤本寛氏)と面接で意気投合したことが大きかったです。私が本格的に転職活動をしていた2016年は、インサイドセールスが認知された時期でもあり、転職エージェントからのアプローチが飛躍的に増えた年でした。外資系ITだけでなく、日本の大企業でもインサイドセールスの経験者を探しており、求人需要が増えていることを実感しました。
そんなときに紹介してもらった藤本さんは、私が話した中で初めてのインサイドセールス組織を立ち上げた経験がある人で、話が弾みました。その後、一緒に仕事をする予定のマーケティングとフィールドセールスの担当者と会い、Zendeskに移ることを決めたのです。
加えて、転職活動をしているときにエージェントにリクエストした条件は、マストバイの商材を扱う会社であることでした。お客様が欲しいと思っているけれど、その存在に気付いていない商材の必要性を広める役割に一役買いたいと思ったのです。その意味でZendeskが提供しているサービスは私の考える条件に合致していました。
内勤営業と同じではないインサイドセールス
――インサイドセールスだけでなく、マーケティングの経験を積んでからZendeskに移られたのですね。では、現在はZendeskのインサイドセールスとしてどんな仕事をされているのでしょうか。
現在の職種は案件発掘をミッションとするSDR(Sales Development Representative)です。リードナーチャリングから案件(オポチュニティ)を作ってフィールドセールスに渡すまでを担当します。
インサイドセールスをエントリークラスのポジションとして位置付けている会社が多いことは承知していますが、私自身は「ビジネスの始まりから終わりまでを俯瞰できる唯一の存在」だと考えています。その視点を持って活動しないと、電話かけやアポ取りだけで終わってしまう危険性があります。
インサイドセールスはマーケティングとフィールドセールスに関わるポジションですから、ただの内勤営業とは違います。組織としてインサイドセールスの活動を評価する指標を持っているかで得られる成果が変わってくるぐらいです。