モノグサが掲げる「42種類の営業スキル」と「営業のレベル分け」
――これまでのキャリアについて教えてください
2010年に新卒でリクルートに入社し、中古車購入のマッチングメディアである「カーセンサー」の広告営業としてキャリアをスタートさせました。その後、教育領域に新規事業が立ち上がることを聞きつけて、異動願を提出したのちに「スタディサプリ」の事業開発に4年半ほど携わりました。
学生時代から自分で事業を立ち上げることを目標にしていたこともあり、2012年ごろからは、高校時代の同級生であり、当時Googleのエンジニアでもあった畔柳(現モノグサ CTO)とともに企業の準備をスタートさせていました。2016年に畔柳と共同でモノグサ株式会社を創業したのち、翌年9月にリクルートを退職し、現在に至ります。
――リクルート時代には社内表彰制度「TOPGUN AWARD」を獲得されたと聞いています。どんな営業スタイルを確立されていたのでしょうか?
「TOPGUN AWARD」は、リクルートグループ全体の中で「新規性の高さ」「事業汎用性の高さ」などの観点から事業によい影響を与えた活動をした社員を表彰する制度です。2万人程度が在籍するリクルートグループの中でも、毎年10人程度しか表彰されません。私はこれを入社2年めで受賞したのち、スタディサプリ事業への異動後に二度めの受賞をしました。最年少受賞者、かつ、異なる事業部での受賞は前代未聞だったそうです。
リクルート時代に意識していたのは、「自分の活動が起点となって、新商品がつくられるような営業をする」ことでした。一般的に、営業は「人がつくったモノを上手に説明した結果、『いいね』と感じたお客様に買っていただく」流れがあると思います。しかし、私のスタイルは、真っ先にモノを売るのではなく、あくまでも「新しいプロジェクトをお客様とつくり上げる」ことを前提にスタートし、新規事業立ち上げにおけるフローのひとつとして商材を購入して活用いただくかたちでした。
――モノグサでは、営業人材を育成するうえで「普遍的な営業スキル」42種類を言語化しているとうかがいました。育成スキームとその特徴を教えてください。
前提として、モノグサでは「レベル0」から「レベル3」までの4段階でセールスレベルを定義し、これらを支える42個のスキルを客観的な評価項目として用意しています。
レベル0:マナーがある状態
レベル1:情報の非対称性を埋められる状態
レベル2:ニーズを顕在化させられる状態
レベル3:課題を創造できる状態
ここでのスキルセットは、お客様の「ニーズの顕在化度合い」によって使い分けるものとして想定されています。極端な話ですが、お客様がニーズも必要な商材も把握しているのであれば、セールスのマナーさえしっかりしていれば商品は売れる――「レベル0」の営業で十分なんです。一方、お客様がニーズを自覚しながらも商材そのものの存在を知らない場合は、商材の特徴をしっかり説明できる能力が求められるため、「レベル1」以上の営業パーソンである必要があります。
そして、お客様がニーズを自覚していない場合には営業側が潜在的なニーズを引き出す必要があるため、「レベル2」のスキルが求められます。さらに業界によっては、そもそもニーズそのものが存在していないケースもあります。その場合には、お客様の目標を引き上げることで「課題を生み出す」必要があります。これに対応できるのが「レベル3」の営業です。
何不自由なく悠々自適な暮らしをしている人であっても、「200歳まで生きる」という目標を掲げると、途端に課題だらけになりますよね。顧客から開口一番に「そんなものは必要ない」と言われたとしても、新しい目標を設定してもらい課題を生み出すことができれば、成約の確率が上がるんです。