データ活用に無関心な現場 現場に役立ち「ありがとう」と言われる施策を
サトーは製造業、小売、アパレル、レストランチェーンなどに、業務用ラベルプリンタ、RFIDなどの自動認識ソリューションを提供する創業80年の老舗企業だ。中でも、スーパーマーケットなどで使われているハンドラベラーは同社が発明した製品として、高いシェアを誇る。原田氏は2000年にサトーへ新卒入社し、国内のマーケティング責任者として4年にわたりSalesforce活用の企画・運営を担当してきた。
同社の顧客は多くの業種にまたがり、全国各地のスーパーマーケットやレストランなど多種多様な店舗・営業所に広がっているため、細かな拠点情報が不可欠だ。
「私たちが求めるマスターデータには、拠点情報が必須です。たとえば工場、物流センター、店舗、営業所といったような細かい情報が必要。ですから本社の情報しか格納されていないデータベースでは不十分です。全国の拠点網羅率99.27%のLBCだからこそ当社の営業活動に役立てることができました」(原田氏)
4年前、原田氏がCRM/MA推進者に就任した当時抱えていたのは、「きれいな顧客データが整備されれば、さまざまな施策を展開できるのに」という歯がゆい思いだ。しかし、そんなCRM/MA推進者の思いとは裏腹に、現場の意識はそれほど高くはなかった。
「そもそもデータメンテナンスに無関心ですし、データがきれいに整備されるとどんないいことが起こるかわからない、むしろ今すぐ多くの商談が欲しい、そんな声が上がりました」(原田氏)
このような状況下で原田氏は現場から「ありがとう」と言われるようなCRM/MA推進施策を練りに練った。そこで必要だと考えたのが、「日ごろの営業活動」「ターゲットリストの作成」「マーケティング活動」という3つのシーンで現場の営業パーソンの役に立つ施策だ。
まず日頃の営業活動については、Salesforceのダッシュボードで全国の商談・見積もり状況をひと目で閲覧できるようにした。LBCが付与する企業コードをSalesforce内の情報と紐付けることで、一元管理が実現する。その後、企業情報をクリックすると、全国の各拠点で行われている商談の状況や過去に送付した見積書の一覧などを社内のどの営業パーソンも確認することができる。
その結果、Salesforceのダッシュボードにログインするだけで、ひとつの会社に誰が・どのようにアプローチし、どのような商談をしているのかについて誰もが知ることができるようになった。情報格差はなくなり、顧客とのアポイントの前に商談を有利に進める情報を取得しやすくなった。