新規顧客開拓が難しくなった2020年 部門間のツール分断も課題に
ランドスケイプは日本全国の事業所820万拠点を網羅した日本最大級の法人マスターデータ「LBC」、顧客データ統合ツール「uSonar(ユーソナー)」を元にしたデータベースマーケティング支援を展開している。樋代氏は活用グループ執行役員として、現在も最前線で法人営業に従事し、企業のリアルな営業の悩みに日々耳を傾けている。
コロナ禍の2020年、樋代氏は顧客から「新規営業がしづらくなった」という悩みをよく聞くようになった。
「慣れない非対面営業が続いて顧客の反応が良くわからない、展示会などのイベントが中止になりリードが獲得できない、テレワークにより架電しても担当者が不在でつながらない……このような切実な悩みを多数聞きました」(樋代氏)
テレワーク下では部門を横断した相談も容易ではない。CRM/SFA・MA・名刺管理ツールなどのツールを導入していても利用が部署ごとに分断されている企業では、お互いのルールや利用目的もばらばらになっていることが多い。その結果、顧客データが社内に散在している企業もある。
「社内外にさまざまな課題が山積し、ツールはあっても有効活用できない。コロナ禍でもしっかり営業活動に取り組みたくても、推進力が生まれないと嘆いた方も多いのではないでしょうか」(樋代氏)
このような悩みに対し、ランドスケイプが提供するのは顧客データの一元化だ。社内に散らばった見込み客・既存顧客情報を、重複や無効データなどを選り分けてクレンジング。データを整理し直すことで、重点アプローチ企業群をあぶり出していく。
データの一元化を実現するために重要なマスターとなる法人企業情報のデータベースを有するのがランドスケイプの強みだ。
実際にランドスケイプのデータベースを有効活用し、「データの一元化」を実現しているのがサトーの原田氏だ。原田氏は、2020年Salesforceの全国活用チャンピオンにも選出されている。新規の見込み客との接点を持つことが難しかったコロナ禍で、どのように多くのリードや商談を創出したのだろうか。
データ活用に無関心な現場 現場に役立ち「ありがとう」と言われる施策を
サトーは製造業、小売、アパレル、レストランチェーンなどに、業務用ラベルプリンタ、RFIDなどの自動認識ソリューションを提供する創業80年の老舗企業だ。中でも、スーパーマーケットなどで使われているハンドラベラーは同社が発明した製品として、高いシェアを誇る。原田氏は2000年にサトーへ新卒入社し、国内のマーケティング責任者として4年にわたりSalesforce活用の企画・運営を担当してきた。
同社の顧客は多くの業種にまたがり、全国各地のスーパーマーケットやレストランなど多種多様な店舗・営業所に広がっているため、細かな拠点情報が不可欠だ。
「私たちが求めるマスターデータには、拠点情報が必須です。たとえば工場、物流センター、店舗、営業所といったような細かい情報が必要。ですから本社の情報しか格納されていないデータベースでは不十分です。全国の拠点網羅率99.27%のLBCだからこそ当社の営業活動に役立てることができました」(原田氏)
4年前、原田氏がCRM/MA推進者に就任した当時抱えていたのは、「きれいな顧客データが整備されれば、さまざまな施策を展開できるのに」という歯がゆい思いだ。しかし、そんなCRM/MA推進者の思いとは裏腹に、現場の意識はそれほど高くはなかった。
「そもそもデータメンテナンスに無関心ですし、データがきれいに整備されるとどんないいことが起こるかわからない、むしろ今すぐ多くの商談が欲しい、そんな声が上がりました」(原田氏)
このような状況下で原田氏は現場から「ありがとう」と言われるようなCRM/MA推進施策を練りに練った。そこで必要だと考えたのが、「日ごろの営業活動」「ターゲットリストの作成」「マーケティング活動」という3つのシーンで現場の営業パーソンの役に立つ施策だ。
まず日頃の営業活動については、Salesforceのダッシュボードで全国の商談・見積もり状況をひと目で閲覧できるようにした。LBCが付与する企業コードをSalesforce内の情報と紐付けることで、一元管理が実現する。その後、企業情報をクリックすると、全国の各拠点で行われている商談の状況や過去に送付した見積書の一覧などを社内のどの営業パーソンも確認することができる。
その結果、Salesforceのダッシュボードにログインするだけで、ひとつの会社に誰が・どのようにアプローチし、どのような商談をしているのかについて誰もが知ることができるようになった。情報格差はなくなり、顧客とのアポイントの前に商談を有利に進める情報を取得しやすくなった。
2年間でホットリードは270%に データ活用に必要な5つのステップ
次に取り組んだのが、営業活動に必要なターゲットリストの抽出だ。たとえば、北関東の営業所から「今季は食品製造業にアプローチしたいから、北関東エリアのリストを抽出してほしい」とオーダーがあったとき、ランドスケイプの提供する「uSonar(ユーソナー)」を使って有用性の高いターゲットリストを10分でつくることが可能だ。
「『わかりました、売上10億円以上の食品製造業リストを10分で出しますね、決裁のキーマンも知りたいでしょうから本社が北関東かどうかも分類してお出しします』、というように日々の営業活動で使えるリストをすぐ提供できるようになりました。その結果、各拠点のマネージャーから『顧客データがきれいに整備されていると、こんなにいいことがあるんだ、サトーも進んだね』と声をかけてもらえるようになりました」(原田氏)
日々多くの営業パーソンが最前線で顧客に向き合う同社では、マーケティング部門を後方支援と位置づけてきた。「LBC」や「uSonar」の活用で、営業パーソンに役立つ情報を提供できるようになったことで、顧客データ整備とマーケティング活動の重要性はより社内に広がっていったという。
以前は社内から「商談は営業がつくるもの」「マーケティングって、展示会をやる人でしょ?」と見られることもあったが、顧客データが整備された結果、コロナ禍も多くのリードを獲得することができ、「コンテンツマーケティングをやって欲しい」「ウェビナーの集客を手伝ってもらえないか」との声が社内から多数寄せられ、営業現場から自然と「インサイドセールスで営業の分業を図ろう」という意見が出るようにもなった。
「コロナ禍でもデジタルで顧客とつながることのできる施策を展開でき、社内全体の考え方が大きく変わりました。」(原田氏)
データ活用の取り組みの結果として、サトーでは2年間でホットリードが270%成長した。原田氏は、組織のデータ活用を変革するためには次の5ステップをサイクルで回していくことが必要だと考えている。
「データ活用がいきなり加速することはありません。現場の課題を親身に理解し、メリットを提供できるようになるまで丁寧に伴走すること。そして現場にデータ活用の良さを体感してもらうこと。現場から『データを整備してくれてありがとう』と言われるそのときまで根気よく施策を行っていくほかないと思います」(原田氏)
原田氏の4年間の軌跡をあらためて聞いた樋代氏は次のように講演を締めくくった。
「コロナ禍が続く2021年だからこそ、サトー様のようにデータの一元化に取り組み、現場の営業パーソンの活動を止めない環境をつくることが重要です。その第一歩として社内にあるデータを見つめ直し、どのように活用できるか考えてみることから始めてみてほしいです」(樋代氏)
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