1992年の営業の働き方、AI×5G×音声がもたらすものとは? 前編はこちらにて公開中。後編からでもお楽しみいただけます。
コロナ禍に生まれた新課題 「繊細なリーダーシップ」が求められる
會田(レブコム) コロナ禍で働き方はどのように変化しましたか。
坪谷(NTTドコモ) 営業に比べますと顧客と接点を持つ機会が少ない企画の立場ですが、デジタル環境で十分に仕事ができることを実感しています。タイムマネジメントもしやすくなりました。営業の働き方も、最初は変化に戸惑うことも多かったともいますがオンライン商談が定着し、パフォーマンスは上がるのではないでしょうか。
會田 当社は、創業期からフルリモートOKにしているので「コロナ禍だから」という影響はなかったです。今後組織のあり方は大きく変わるなと考えていて、備えていたんです。
オランダ東インド会社に端を発して、「株式会社」が生まれてからずっと組織論においては「マネジメント」が重要だと言われ続けてきました。要はどの会社でも、上司は部下に目標を達成させる、そのための関係値を築く必要があり、そのための場所としてオフィスが機能していたのです。それが少しずつ変化してきた証拠として、ここ数年の組織論では「ティール組織」や「ホラクラシー経営」が叫ばれるようになりました。
一度、組織論から目を離してほかの領域を見ても、長らく中央集権的であった「決済」もブロックチェーン技術の発達により、非中央集権型へと変化しています。社会の大きなうねりとして、「マネジメントからエンゲージメントへ」のパラダイムシフトが起きています。そんな時代に、「毎日出社させ、KPIを達成させ続ける」という組織運営は古くなると思ったんです。会社を設立した2017年当時は、「フルリモートなんて上手くいくわけない。経営を甘く見るな」などいろいろと言われましたが(笑)。
一方で課題も見えてきました。それは「リモート環境で物理的な空間を共有せずにいかに文化をつくるのか」ということです。まさに当社でも施策を講じているところですが、NTTドコモさんではマネジメントや組織のあり方はどう変化していますか。
坪谷 「会う新鮮さ」を感じる1年でしたよね。オンラインではあらゆることに気を遣いますから、環境が許せば、オンラインとオフラインの良いところを組み合わせて、ハイブリットの働き方にしたいところです。間違った意思疎通になってしまわないよう、電話の声音にさえ気を配りました。
組織の中では、「自立し、能動的に考える人」が際立ってきました。「ひとり事業主」のような人、つまり企画力と情報収集能力があり、人を動かせる人たちが活躍しています。個の文化が加速し、成果を出した人は独立するような時代になるかもしれません。
これまでマネージャーと呼ばれてきた人たちは、企業としてマーケットにどう価値を提供するかを考えられるような人が成果を出していくでしょう。そして、あらためて「リーダーシップ」が問われるでしょうね。そしてそれは、これまでのリーダーシップのようなパワフルなものでなく、繊細なモノのように感じます。