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テクノロジーは「あるから使う」ではうまくいかない――日本フェンシング協会会長・太田雄貴さん

2020/09/17 07:00

 オンライン商談を可視化するAI搭載型クラウドIP電話MiiTelを提供するRevComm・會田社長が、新しい組織のかたちをさまざまな分野のトップとの対談から探っていく本連載。第2回のゲストは、公益社団法人 日本フェンシング協会の会長を務める太田雄貴さん。2008年、北京五輪でメダリストとなり、現在は日本フェンシング協会会長や国際フェンシング連盟の副会長を務める太田さんは、経営者でありながら営業担当としても日々ビジネスとしてのフェンシングや、人材育成に取り組んでいます。経営、営業、スポーツに共通する必要な複数の力を太田さんは、どのように習得してきたのかに迫ります。

2013年からフェンシングに導入されたテクノロジーとは?

前編はこちらから!

會田 テクノロジー×営業をテーマにしたSalesZine内の対談と言うことで、2013年からフェンシングに導入されてきたテクノロジーについてもうかがえますか。

太田 それこそ「セールス」にも関連しますが、大会を開催するたびに来場者やスポンサーにはお金を払ってもらうことになります。去年とまったく同じものに、同じ金額を出してもらうのは容易なことではありません。お金を払ってもらう価値を提供するために、毎年アップデートが必要だと考えています。

 実際に来場してくださった方から、「ルールがわからない」「顔が見えない」「剣が早くて見えない」という率直なフィードバックをいただきました。そこで、このような課題をテクノロジーで解決できないだろうかと考えました。たとえば、「Fencing Visualized Project」では剣先の動きをビジュアライズしています。ライゾマティクスさん、Dentsu Lab Tokyoさんと現役のころから取り組んできたプロジェクトで、2020年に向けて投資してきました。実際の大会で実装できそうなところまで来ています。

會田 かっこいいですね。ビジネスパーソンとしての太田さんはITやテクノロジーと、どう向き合っていらっしゃいますか?

太田 テクノロジーは、「あるから使う」ではうまくいかないと考えています。課題が明確ではない組織にどんなに良いテクノロジーをのっけても、その車体は走りません。スポーツ観戦では「競技者の顔が見えない場合、感情移入がしづらい」という課題があります。実は、陸上と競泳だと陸上のほうが「数字が良い」ことが続いていました。これは陸上のほうが競技者の顔が見え、感情移入できる面白さがあるからなのですね。競泳は顔が水中にありますし、詳しくなければゴールするまで誰が早かったかわからないこともあります。

 

 2001年に福岡で開催された世界水泳の放映時に初めて、ゴールタッチ時に選手の名前が大きく画面上に出たり、泳いでいるときに世界新記録の線を出したりする工夫が出てきました。これは、テレビ朝日さんが競泳をわかりやすく伝えるために取り組んだことです。

 フェンシングも選手の表情が見えませんから、真面目な取り組みとして選手の心拍数を大画面に映してみるということをやりました。ここにエンターテインメントの要素として、審判の心拍数も出してみたんです。一体どれほど緊張しているのか。そうすると、なんと入場時にいちばん高いのは審判の心拍数なんてことがあり、審判からは不評でしたが(笑)、面白い取り組みだったと思います。スポーツの面白さを伝え、来場者を増やす方法を常に追求しています。勉強のためにいろいろなアーティストのライブにも参加してきました。サカナクションさんやPerfumeさん、嵐さんやもちろん洋楽も。どれも素晴らしいと思う一方、「自分だったらこうするな」というプラスワンを考えながら見るようにしています。

 我々としては来場者に楽しんでもらい、来場者を増やしていくという大きな目標を解決する手段としてテクノロジーを活用すると決めていました。そのためには、資金集めの必要があり、資金を集めるための商材がなければ自分で開発して、自分が売ってきました。自分でつくったものは売りやすかったですが、今後は自分だけではなく、組織でも売れるようにしていくことが今後の課題ですね。

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