時代がエンタープライズ・インサイドセールスを求めている
本連載の第3回から、エンタープライズ・インサイドセールス(EIS)導入の必要性について、複数の視点に分けて考察しています。今回は下の図の最後にあたる「2)市場や社会の流れから求められる」の部分について述べていきます。
1)組織の機能面
- 協業型セールスの重要性
- エンタープライズ・インサイドセールス(EIS)のメリット
2)市場や社会の流れから求められる
インサイドセールス(IS)自体は新しいセールスモデルではないことは、第1回でも解説しています。しかしながら、今なぜエンタープライズセールスにおいても、ISの導入が求められるのか。前回までの解説と照らし合わせながら確認してみてください。
EISを必要とする理由1)新規事業の開拓
企業の成長にイノベーションが不可欠であることは、みなさんもおわかりでしょう。ベンチャーに限らず国内の大手企業(エンタープライズ)でも、新規事業の開拓に精力的です。そして大手は、優秀な人材の宝庫です。個々のレベルで見れば、世界と勝負できる稀有なタレントが揃っています。それなのに現在の日本では、世界を動かすほどのイノベーションはなかなか生まれません。その理由として、共創が進まないことが挙げられます。社内でプロトタイプまではつくれるけれど、その先につながらないというのです。
「イノベーションは辺境で生まれる」とも言われるくらいですから、自社や自部門とは異なる事業領域とのコラボレーションは必須です。自社で開発した技術や仕組みを商品やサービスにつなげるには、パートナーを見つけなければ次のフェーズに移ることはないのです。つまり新規営業が必要なのです。
ところが日本の企業は、このプロセスを築くのが大の苦手。特に組織の規模が大きくなると、フットワークは重くなりがちです。加えてある事業部門とすでに取引があったとしても、別の部門となるとコネクションが通用しないという現象も起こりがちです。
しかしそうも言っていられません。ライバルは世界中にいるのですから、シーズをいち早く実用化に結びつけ、市場を拡大しなければいけません。それには、新しい技術や仕組みとのマッチングの高い顧客を発掘する、円滑な営業活動が欠かせません。さらには確実な契約に向け、周到に準備する必要もあるでしょう。
前回の記事を読まれた方は、もうおわかりですね。ISとフィールドセールス(FS)のデュアル体制は、迅速で細やかなセールスを図るには最適なフォーメーションなのです。