プレイド社内のチーム横断的なKARTE活用事例
BtoB企業での活用例という意味では、開発元であるプレイド自身がもっとも実践的なKARTEユーザーと言えるだろう。高柳氏は「KARTEの強みは1人ひとりのお客様を知ることができる点にあります。我々の社内ではマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスまでが横断的にKARTEを基盤として使い、お客様とのコミュニケーションを展開しています」と述べ、チーム横断的に顧客と向き合うことをKARTEで実践していると話す。
高柳氏は、自社における3つのKARTE利用シーンを紹介した。
1. Slackとの連携
インサイドセールスの役割は、マーケティングが獲得したリードのナーチャリングを行い、フィールドセールスに渡すことである。プレイドでも同様に、インサイドセールスチームは問い合わせをもらったり、セミナーに出席してもらったりした見込み客とのコミュニケーションを行う。
プレイドの取り組みでユニークなのは、Slack内に資料請求のチャンネルを用意し、この中でフィールドセールスに対応を依頼できるようにしていることだ。たとえば、ホワイトペーパーのダウンロードがあると、Slackに自動的にフォロー要請の通知が来る。通知の内容を見れば、どの会社の誰がどの資料をダウンロードしたかがわかる。しかも通知の中にあるURLをクリックすると、KARTEで管理している顧客情報にジャンプする。フィールドセールスはそのページを見て、企業情報や過去の商談履歴を確認すればよい。さらに、オウンドメディアの「XD」や自社サイトのKARTEに関するページをいつどのぐらい見ていたかも確認でき、現在の興味関心に合わせたコミュニケーションを行うことができるという。
2. Salesforceの顧客情報との連携
プレイドでは見込み客ごとに商談の進捗がどの段階にあるかを管理するためSalesforceを活用している。すでにSalesforceに実名で登録されている企業のキーパーソンがウェブサイトを再訪すると、Slackに通知が来て、商談ステータス、独自の熱量スコア、営業担当者を知らせてくれる。営業担当者はより俊敏に機会を逃さずコミュニケーションをとることができるわけだ。
3. 閲覧コンテンツに合わせたレコメンド
プレイドではオウンドメディアを含め、ウェブサイトでさまざまなコンテンツを用意しているが、特定のコンテンツを8割以上読んでくれた人にだけ、そのプロダクトの導入を成功させる「鉄板シナリオ」を記載したコンテンツを案内するメッセージを出すようにしているのだという。資料ダウンロードを促すやり方としてはバナーの掲載も考えられるが、一律に表示すると関心の薄い人にとっては邪魔になる可能性も高い。そこにKARTEを使えば、コンテンツのテーマへの関心が高い人たちだけにメッセージを出し分けられる。
ビジターの訪問回数によって提供するコンテンツも変えている。たとえば、初めてKARTEのサイトに来たビジターにはサービスの概要を知ってもらうための紹介動画、2回目以降のビジターにはより詳細な情報がわかる資料を案内している。顧客に合わせて提供するコンテンツを変えることで、最適な体験を提供する。それがKARTEの得意とすることだ。
自社だけではないB2BでのKARTE採用
高柳氏は、プレイド以外のBtoB企業におけるKARTEの活用事例として、クラウド人事労務ソフトウェアのSmartHRと工業用間接資材を扱うネットストア「モノタロウ」を紹介した。
SmartHRでは、既存顧客向けのサポートでKARTEを利用している。導入前は自分に関係するヘルプページを見つけにくいという問題があったが、ユーザーに探してもらうのではなく、SmartHR側で頻出質問に関する回答ページを表示し、よくある質問の問い合わせ数を減らすことに成功した。モノタロウの場合は、セグメントごとに施策を展開していたが、データを分析してから施策を実行に移すフローの改善にKARTEを採用。KARTEが用意しているA/Bテストのテンプレートを使い、テストドリブンでPDCAサイクルを高速に回すようにした結果、マーケターが顧客のことを考える時間を増やすことにつながったという。
講演の結びに、高柳氏はBtoB企業がKARTEを有効活用するためのポイントを3つ挙げた。第一に、過去だけではなく、いまこの瞬間の変化する顧客ニーズをとらえること。第二に、あらゆる情報を共有して一貫性のある体験を提供すること。最後に、思いついたアクションはそのタイミングですぐに実行することだ。営業組織全体で顧客と向き合うことで、顧客1人ひとりの行動や感情を可視化し、その人に合わせた適切な提案やコミュニケーションを行う。さまざまな施策の迅速な展開にKARTEは役立ちそうだ。