リクルートマネジメントソリューションズは、管理職および一般社員を対象に、「管理職のあり方に関する実態調査」を実施した。
現在管理職である人の約6割が引き続き管理職として働く意思をもっている
図表1:管理職の継続意向/管理職の組織満足度
- 管理職の約6割が、「今後も管理職を続けたい」「どちらかといえば続けたい」と回答しており、一定程度の継続意向が見られる
- 管理職を続けたい理由としては、「やりがい」を挙げる回答が最も多く、部下の成長支援や組織成果への貢献を価値と捉えている様子がうかがえる
- あわせて、「適性・向き不向き」も、継続意向を支える要因となっている
- 一方、管理職を続けたくない理由としては「業務負荷」が最も多く、業務量の多さやワーク・ライフ・バランスの崩れが負担になっている可能性がある
- 現在の組織で管理職として働くことについては、「満足している」「どちらかといえば満足している」が約6割を占め、役割そのものへの評価は低くない
管理職と一般社員では時間外の働き方にギャップがある
図表2:勤務先での働き方「Q.今の主な勤務先でのあなたの働き方について、最近1ヵ月であったことを教えてください。(複数回答/n=35/%)」
- 勤務実態を見ると、管理職は一般社員と比べて時間外労働が多く、「勤務時間外の連絡」「勤務時間外の業務」「休日の業務対応」のいずれも選択率が高い
- また、「ミーティングが多く自分のタスクを行う時間がない」「業務量が多く勤務時間中にゆとりがない」といった項目でも、管理職の負荷が相対的に高い
- 管理職の継続意向や満足度は一定水準にある一方で、業務負荷が管理職に集中しており、持続的なマネジメント体制に課題がある可能性がある
「組織からの支援に対する全般的な信念(POS)」「人との関わり」「ワークエンゲージメント」が重要である
図表3:POS・孤独感・エンゲージメント別の管理職継続意向「Q.あなたは今後も管理職(部下をもち、組織目標の達成や人材育成の責任を担う立場)を続けたいと思いますか。(単一回答/n=188/%)」
- 業務負荷のなかでも、管理職の継続意向を高める要因として、「組織からの支援に対する全般的な信念(POS)」「人との関わり」「ワークエンゲージメント」が重要である
- POSが高い管理職では、「管理職を続けたい」「どちらかといえば続けたい」と回答した割合が65.2%となり、POSが低い管理職(41.6%)を上回っている
- POSが高い管理職ほど、組織から自らの貢献や成果が評価され、価値観が尊重されていると感じやすく、支援を得られる安心感が役割への前向きな意味づけにつながっている可能性がある
- 一方、POSが低い場合、判断や責任を個人で抱え込みやすく、支援不足のなかで負荷が蓄積し、管理職継続が困難だと感じやすくなると考えられる
- 管理職の継続意向は孤独感とも関連しており、孤独感が低い管理職では継続意向が高い一方(70.2%)、孤独感が高い管理職では継続意向が低い(40.6%)傾向が見られた
- 孤独感が低い管理職は、職場に話し相手や頼れる人がいるなど心理的なつながりを感じやすく、業務上の悩みや判断をひとりで抱え込まずに済んでいる可能性がある
- 反対に、孤独感が高い管理職では、立場上本音を共有しにくい状況のなかで孤立感が強まり、精神的な消耗が進みやすい
- ワークエンゲージメントが高い管理職では、管理職継続意向を前向きに捉える割合が74.6%と高く、エンゲージメントが低い管理職(48.7%)との差が見られた
- エンゲージメントが高い管理職ほど、仕事への活力や充実感を感じやすく、管理職という役割を肯定的に受けとめている
エンゲージメントの高さに問わず専門性を生かした個人業務への志向が強い傾向にある
図表4:エンゲージメント・継続意向別 管理職の時間の使い方「Q.あなたは、以下の5種類の仕事それぞれにどれくらいの時間を使っていますか。合計100%になるように、その割合を数値で記述してください(概算で構いません)。(単一回答/n=188/%)」
- 「業務マネジメント」は、いずれの群においても一定の割合を占めており、エンゲージメントや継続意向の高低による大きな差は見られない
- 業務マネジメントは、管理職に共通する基盤的な役割として、一定の時間が割かれている業務である
- 「方針づくり」は群間で差が見られ、エンゲージメント高・継続意向高群で最も割合が高く(14.1%)、組織運営や将来を見据えた業務により多くの時間を充てている傾向が見られた
- 「プレイヤー業務」の割合は、エンゲージメント低・継続意向低群で最も高く(29.6%)、管理職でありながら個人業務に多くの時間を割いている状況が確認された
- 一方、エンゲージメント高・継続意向高群では、「プレイヤー業務」の割合が相対的に低く(21.5%)、「方針づくり」や「部下マネジメント」といった管理職本来の役割に時間を配分できている
- エンゲージメント高・継続意向低群においても、「プレイヤー業務」の割合は26.4%と比較的高く、専門性を生かした個人業務への志向が強い可能性がある
- この群では、業務マネジメントには一定程度関与しつつも、管理職の継続より自身が価値を発揮できる役割を重視している可能性が示唆される
一般社員の中の約6割以上は管理職になることに否定的である
図表5:一般社員の管理職就任意向/上司満足度
- 一般社員に対し、今後管理職になりたいかを質問したところ、「なりたい」「どちらかといえばなりたい」と回答した割合は18.1%だった
- 一方で、「どちらかといえばなりたくない」(22.9%)、「なりたくない」(44.0%)を合わせると6割以上だった
- 「どちらともいえない」と回答した層も15.1%存在しており、管理職志向が定まっていない層が一定数いることがわかる
- 自由記述を見ると、管理職になりたい人からは、若手育成やチームを率いて貢献したいといった「成長・組織貢献意欲」に関する理由が挙げられた
- 一方、管理職になりたくない人からは、責任や業務負荷の重さ、報酬やワーク・ライフ・バランスへの懸念といった「責任・負担への懸念」や、現場で専門性を発揮したいという「現場志向」が挙げられた
- 現在の直属の上司と働くことへの満足度については、「満足している」「どちらかといえば満足している」と回答した一般社員が43.3%となり、満足していない層(24.7%)を上回っている
管理職への就任意向あり群の方が、シェアド・リーダーシップが職場で発現していると認識している割合が高い
図表6:シェアド・リーダーシップと管理職就任意向「Q.あなたの職場のメンバーについて、半数以上のメンバーが行っているものを教えてください。〈複数回答/n=166/%〉」
- シェアド・リーダーシップは、特定の管理職だけでなく、職場のメンバー1人ひとりが主体的に学び合い、支え合い、挑戦を促し合うことで、チーム全体として前向きな行動が広がっている状態を指す
- 管理職就任意向あり群(「なりたい」「どちらかといえばなりたい」)と、それ以外の群を比較したところ、就任意向あり群の方が、シェアド・リーダーシップが職場で発現していると認識している割合が高かった
- とくに差があったのは、「他のメンバーが新しいことを学ぶよう促している」であり、管理職就任意向あり群は30.0%、それ以外の群は14.7%と、15.3ポイントの差が見られた
- 「失敗を次へのチャンスとみなすように他のメンバーを励ます」についても、管理職就任意向あり群は33.3%、それ以外の群は19.1%で、14.2ポイントの差が確認された
- 管理職になりたいと考える一般社員ほど、職場において学習・挑戦・改善を後押しする行動が一定程度広がっていると捉えている可能性がある
管理職が1人ひとりの部下を見る姿勢が、部下の上司満足度を高める
図表7:上司と働くことの満足群別に見た直属の上司行動「Q.以下のうち、あなたの現在の直属の上司が普段取り組んでいることとして、あてはまるものを教えてください。(複数回答/n=166/%)」
図表8:現在の上司満足度別 管理職意向(単一回答/n=166/%)
- 直属上司への満足度(満足/非満足)によって、管理職の関わりを「感じている」割合に差が見られた
- 一般社員では、上司への満足度が高いほど「管理職になりたい」と回答する割合が高く、満足度が低い層ほど「なりたくない」とする割合が高かった
- 直属上司への満足度の良しあしが、一般社員にとっての「管理職という役割の捉え方」に影響を与えている可能性が示された
- 一般社員にとっては、上司との日常的な関係性や職場でのリーダーシップ行動が、管理職への心理的距離を左右していることがわかった
- 管理職のなり手を増やし、役割を前向きに続けられる状態をつくるには、社員が上司や組織に対して「満足できる」と感じられる環境づくりが重要だとうかがえる
管理職を続けたいと考えている人の方が、職場満足度が高い
図表9:職階・管理職意向別 職場満足度の平均(単一回答/n=354)
- 仕事・職場の満足度を比較した結果、一般社員では管理職になりたいかどうかによる職場満足度の差は見られなかった
- 一方、管理職の群では、「管理職を続けたい」と考えている人ほど、すべての満足度項目で有意に高い結果となった
- 一般社員にとって、管理職意向は現在の仕事や職場への満足度と必ずしも直結していない
- すでに管理職の立場にある人にとっては、日々の仕事体験や職場環境の質が、役割を前向きに続けられるかと関係している
- 管理職の継続意向は、責任感やキャリア志向だけでなく、組織からの支援、周囲との関係性、仕事への関与のあり方、総合的な満足感など複数の要因によって形成されている
- 一般社員が管理職を前向きに捉えられるかどうかは、満足度の高低よりも、職場での役割分担や関わり方、管理職という役割の見え方に左右されやすいことがわかった
- 管理職の持続性と将来のなり手を確保するためには、個人の意欲に委ねるのではなく、仕事体験の質を高め、支え合いや主体的な関わりが生まれる職場環境を整えることが重要であるとうかがえる
【調査概要】

